再会は食堂で

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午後からの会議には神戸室長の言う通り、新社長も出席した。 最上階の幹部フロアの大会議室。 楕円形のドーナツ型のテーブルに総勢二十名の幹部達が集う。 新社長は父親の田代浩二(タシロコウジ)前社長の席に腰を下ろしていた。 神戸室長と私も会議に出席。 プロジェクタースクリーンを使用し、来期に向けての事業計画や経営戦略の具体的な案を説明していく。 私は室長の説明により、パソコンを操作し、スクリーンにレジメと同じページを映し出していく。 室長の父親・神戸常務が言葉を述べ、新社長が紹介された。 「先ほど、神戸常務からご紹介にあずかりました。高崎竣斗です。 アメリカのロースクールを卒業し、弁護士資格を取得し、ニューヨーク州の弁護して十年従事してきました。主に民事裁判を扱う弁護士として数々の裁判をこなして来ました。 日本に帰国したのは十三年振りとなります。何かの縁でこの度「帝商商事」の傘下の「帝商フーズ」の社長に就任するコトになりました。 父の良き所は見習いますが、私なりに経営方針を打ち立て、「帝商フーズ」の発展に邁進していく次第です。 どうか、よろしくお願いします」 静まり返った会議室内に響く彼の凛とした低い声。 弁護士として法廷に立っても威風堂々としていてカッコ良かっただろうな… 彼の長身の体躯から発せられる人の目を惹くオーラが私には見えた。
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