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私は室長室のドアをノックした。
「神戸室長、長瀬です」
「入れっ」
神戸室長の低い声がドア越しに聞こえた。
「失礼します」
ドアを開けるとカタカタと言う高速のタイピングの音が鼓膜に雪崩込んで来た。
「社長の手伝いは終わったのか?」
「あ、はい・・・」
室長のデスクには私の頼まれた資料が積まれていた。
「これって…私の…」
「俺が君に頼んだ資料だけど…俺が入力している…しかし、パスワードを他人の目に付く場所の書いておくのはよろしくないな。長瀬」
室長は私のデスクに貼り付けたパスワードのメモを見たようだ。
「まぁ、そのおかげで君に訊く手間が省け、君のパソコンから俺のパソコンにデータを送信出来たけど・・・」
室長はマグに手を伸ばしたが、中身が空なのに気づいた。
「コーヒー淹れて来ます。室長はブラックでしたよね」
「あぁ」
私はマグを受け取り、室長室を出て行った。
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