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室長室に呼び出され、異動命令の文書を見せられた。
「これは何かの間違えだろ?長瀬」
「私に訊かれても…」
神戸室長は私の急な人事異動に首を傾げた。
「それも…君は竣斗の専属秘書と訊いたぞ…」
「はい…」
「・・・これは竣斗の職権乱用だな…抗議してやる!」
「神戸室長!!?」
私は社長室に向かおうとする彼の腕を掴んで制した。
「違うんです!!常務の希望で…」
「父さんの希望?どうして…??」
「それは…」
スパイの話は室長に説明出来なかった。
私は言葉を濁していると室長は嘆息した。
「…まぁ、これは決定事項だ…俺が抗議したところで覆るワケじゃない…でも、竣斗も少し横暴過ぎるな…全く…」
彼の方から私の手をやんわりと振りほどいた。
「本当に新社長が決めたコトじゃないんです…信じてください。室長」
「・・・竣斗から…訊いたぞ…一夜の夜を過ごしたんだろ…」
「!!?」
「・・・竣斗は君に本気らしい…君も本気のようだな…」
「室長!?」
やるせなさそうな室長の表情。
「私は…」
室長に憧れていたはずなのに、私の心には竣斗さんが居着いていた。
「隠さなくてもいいぞ…長瀬」
「室長…」
「ぐずぐずしていた俺も悪い」
室長は独り言を呟く。
私には彼の独り言が聞こえなかった。
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