人事異動

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****** 「今日から社長の秘書を務めさせて頂きます。長瀬万葉です。よろしくお願いいたします。高崎社長」 私は僅か一週間で企画部の引継ぎを終え、社長の秘書として新たなスタートを切った。 「君を俺の秘書に抜擢したのは浩明の父・神戸常務だよな…でも、浩明は未だに俺が君を強引に秘書に異動させた思い込んでいる…全く、困ったもんだ」 高崎社長は頬杖を付き、困ったように顔を顰めた。 「私も秘書なんて務まるかどうか…」 「そうだな…秘書はそれなりに細やかな気配りは要求されるからな…万葉のような…大雑把な性格で出来るかどうか不安だ」 「誰が大雑把なんですか…」 「違うのか?」 「いえ・・・社長の言葉は当たっています…」 「まぁ、いい・・・」 ノックの音。 「開いてるぞ、神木」 誰かが社長室に入って来た。 「紹介する、彼は俺の弁護士事務所で働いていたパラリーガルだ。俺がアメリカから秘書として呼び寄せた…」 「初めまして…神木冬人(カミキフユト)です…」 「神木の父親は祖父が社長を務める時代、営業部で働いていて…その後は伊集院元総理の『帝和銀行』の頭取時代…秘書を務めたと言う有名人なんだ」 「へぇー…凄いですね…」 「今の父を見ていると凄い人とは思えませんけどね」 「彼が俺の第一秘書だから…君は第二秘書だ…秘書の仕事は神木が教えてくれる…」 「よろしくお願いいたします」 「こちらこそ」 神木さんは優し気に微笑んだ。 私も微笑み返す。 「神木…コーヒー」 「承知しました」 「私が淹れます」 「じゃ一緒に行こうか…」 「はい」
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