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「今日から社長の秘書を務めさせて頂きます。長瀬万葉です。よろしくお願いいたします。高崎社長」
私は僅か一週間で企画部の引継ぎを終え、社長の秘書として新たなスタートを切った。
「君を俺の秘書に抜擢したのは浩明の父・神戸常務だよな…でも、浩明は未だに俺が君を強引に秘書に異動させた思い込んでいる…全く、困ったもんだ」
高崎社長は頬杖を付き、困ったように顔を顰めた。
「私も秘書なんて務まるかどうか…」
「そうだな…秘書はそれなりに細やかな気配りは要求されるからな…万葉のような…大雑把な性格で出来るかどうか不安だ」
「誰が大雑把なんですか…」
「違うのか?」
「いえ・・・社長の言葉は当たっています…」
「まぁ、いい・・・」
ノックの音。
「開いてるぞ、神木」
誰かが社長室に入って来た。
「紹介する、彼は俺の弁護士事務所で働いていたパラリーガルだ。俺がアメリカから秘書として呼び寄せた…」
「初めまして…神木冬人(カミキフユト)です…」
「神木の父親は祖父が社長を務める時代、営業部で働いていて…その後は伊集院元総理の『帝和銀行』の頭取時代…秘書を務めたと言う有名人なんだ」
「へぇー…凄いですね…」
「今の父を見ていると凄い人とは思えませんけどね」
「彼が俺の第一秘書だから…君は第二秘書だ…秘書の仕事は神木が教えてくれる…」
「よろしくお願いいたします」
「こちらこそ」
神木さんは優し気に微笑んだ。
私も微笑み返す。
「神木…コーヒー」
「承知しました」
「私が淹れます」
「じゃ一緒に行こうか…」
「はい」
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