プロローグ*酸いも甘いも

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「今日も残業?」 「あ、はい…」 「それは大変だね…」 「マスター、いつものカクテルお願いします…」 マスターと軽く言葉を交わし、カウンターもテーブル席も満員御礼。 「今日は盛況ね…」 「団体のお客様が入ってるからね…」 「へぇー…」 私の隣の客人の若い男性は既に酔い潰れ、頭をつっ伏せていた。 「マスター…おかわり」 男性は徐に顔を上げて、マスターに空のグラスを突き出した。 「お客様、そろそろ…飲むのは止めた方が…」 「・・・うるさい!!俺は客だぞ!!」 男性は瞳を酔いでとろんとさせ、マスターを大声で怒鳴り散らす。 絡み酒か… 一番相手したくないお客様だな…
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