プロローグ*酸いも甘いも

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私の部屋は幸い一階。 「どうぞ」と見ず知らずの泥酔した彼を部屋に入れてしまった。 玄関先で彼の革靴を脱がせると急に彼が気分悪そうに口許を押さえた。 「廊下では吐かないで…トイレはこちらです!!」 私は彼をトイレへと誘導した。 彼が吐きやすい様に蓋を開ける。 「此処にお願いしますね…」 彼が便器で吐いてる間にゴミ置き場に放置した荷物を取りに行った。 ビジネスバックとキャスター付きの黒のスーツケース。 それらを自分の部屋へと持っていく。 彼は相変わらず便器に顔を突っ込み、吐き続けていた。 相当無理に飲んだよう。 弱いなら飲まなきゃいいのに。
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