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ぱちりと目を開けると暗く殺風景な場所から一転。
木造りの可愛らしい家の前に居た。
そろそろと、辺りを見渡してみる。
風に揺れる木の葉っぱに運ばれたような、澄んだ空気の匂い。その黄緑の隙間の淡い色の花たちと、青い空にはぽっかりと丸く白い雲。
どことなくゆったりとした田舎、という感じがする。
私が今まで居た世界と、余り変わらない印象。
今立っている所から遠くにある、田んぼらしき景色の向こう側には人の歩く姿も見えた。長細い耳。あれは人、なのかな。それともヒトの形の動物……?
『彼らの家のあるところ』
改めて周りを見渡すも、周辺には建物らしき物は無い。 考えた挙句、私は目の前のその家にお邪魔してみることにした。
こじんまりとしている、その割にがっしりした造りのお家だ。
「こ、こんにちは!」
若干緊張してしまったため上ずった声が出てしまった。扉を軽く二回ノックしてみると、それは案外ぶ厚い扉らしく、鈍い音がした。
「やあ、いらっしゃい。空いてるよ」
それから間もなく、中から軽やかな男の人の声が聞こえた。 ほっとしつつも恐る恐る、そのドアを押してみる。
その抵抗が急にふっと軽くなり、内側から残りのそれを引いてくれたのだと気付く。
と同時に、背の高い若い男性が私を迎えた。
それで一瞬息を飲んだ。
わあ! キレイな人だ。
すんなりとした全体の印象と白い肌。
銀色の髪をひとつに纏めている。
くすんだ青、むしろグレーに近いその色のせいか、少し物憂げに見える瞳。
それより私が目に付いたのは、濃い灰色の三角の耳と、同色の細長い尻尾。 この特徴は私と同じ、元が猫の人の様な気がする!
思わずその人をじっと見てしまうも、知らずのうちに私の鼻がひくひくと動いてしまうのは、やはり猫の習性なのか。
何やら家の中から、温めたお肉やみずみずしそうな何か。それらが混ざったふくよかで甘い、美味しそうな匂いがするのだ。
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