プロローグ

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プロローグ

 ここはアメリカの小さな町。ギャングなどのワルが多く、俺もその1人だ。  俺の名はリッキー。幼い頃から悪さばかりして問題を起こし、両親に捨てられた。それからはずっと盗みを働き生きてきた。腹が減っては食い物を盗み、服が汚れては試着するフリをしてそのまま店を出たりした。もちろん、サツに追われる事もあったが、いつも俺1人の力で逃げ切ってきた。盗んでは路地裏に逃げ込み、使われていない倉庫で日々を過ごした。  そんな俺はいつしか町で噂になり、17歳の時に3人組のグループが倉庫を訪れ、接触してきた。 「お前がリッキーか?」 「アンタは誰だ?何の用だ?」 「俺はオスカー、窃盗団のリーダーだ。町で噂のお前が気になってスカウトに来たんだ。」 「スカウトだぁ?言っとくが俺は生きるために盗みをしている。窃盗とは違うぜ?」 「わかっている、お前の事は少し調べさせてもらった。だからこそ、お前を引き入れたい。俺らと、人生を楽しんでみないか?すぐに金も手に入るぞ?」 特に加わる理由も無かったが、1人で効率悪く動くよりコイツらと行動すれば何かメリットがあるはず。そう思い加わる事にした。 「わかった、俺1人では盗みだけで生きていくには限界がある。金も有るに越したことはないしな」 「じゃあ交渉成立だな、今日からお前は俺らの仲間だ、ブラザー。俺の家に案内する、車に乗れ」 俺はオスカーに言われるがまま、車に乗り彼らについて行った。  それからと言うもの、早3年。俺は20歳になり、グループにも馴染み、盗む物も大きく変わっていた。窃盗グループなだけあって、計画を練り役割を分担したうえで、銀行を襲撃し金を巻き上げたり、1度に盗む食料も1人の時より量が増え数週間は動かなくても隠れ家で過ごせた。その分、サツに追われる頻度も増え人生はいつの間にか、ギリギリのラインで生活をしていた。 生きる為にその時その時に必要な物だけを盗んで生きてきたあの頃とは、やっている事の度合いが全く違った。 俺はこの時、今後、全うな人生を送ることは無いだろうと思っていた…。
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