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「ねえ、お姉ちゃん。トイレついて来て。怖いんだ」
真夜中、弟がぐずる声で目が覚めた。目が覚めたけど、私はそのままじっとしていた。
もう毎晩の事だった、弟がこうしてぐずるのは。私はうんざりしていて、少し意地悪してやろうと思ってしまった。
弟のぐずる声が、段々と大きくなっていく。そろそろお母さんに怒られてしまうかと思って、私が起き上がろうと薄っすら目を開いた時だった。
目の前に、すやすや眠る弟の姿があった。
「……ちぇ、気付かれたか」
今まで私の身体を揺さぶっていた何者かが、低い声でそう吐き捨てたのが聞こえた。
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