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─雷─9※
「え、ちょっ……これ……」
───待て。 待て待て待て待て待て待て。
これは、これは……俺もたまにスマホでお世話になってる裸のお姉さん……!!
迅が「スタート」って言う直前まで、映画鑑賞が楽しみだった俺は目を瞑って足をジタバタして、落ち着きがなかった。
でも……それが始まった途端、微動だに出来なくなる。
わざわざ序盤じゃなくて絡みのシーンから「スタート」させた迅を振り返ると、憎たらしいイケメン面で淡々とパッケージを読み上げた。
「タイトル発表します。 "〜童貞男子が淫乱女教師に開発されるまで〜" 。 カッコ、"Gカップ爆乳" 、カッコ閉じ」
「なっっ!!?!?」
「兄貴巨乳が好きなんだな」
そっか、迅の兄ちゃんは巨乳好き、メモメモ。 ……って、違ぁぁぁう!!!
迅のヤツ、何考えてんだ!
「いやいやいやいやいやいや、ちょっ、ちょっと待てよ、迅ッ! なんでこれをチョイスした!? 夜中だからか!? ムラってんのか!? やっぱ性欲爆発寸前なんだな!?」
「雷にゃん……そんなに興奮して……嬉しいんだな?」
「はぁ!?」
おい! それはとんでもない勘違いだぞ!!
俺はヤリ迅やエロピアス翼とは違って、そこまでエロエロじゃねぇんだ!
しかもこういうもんはひっそりこっそり観るもんだろ!?
「まぁいいから観てろよ。 AVくらいでピーチクパーチク言うな。 ダチ同士でAV観るなんざ普通の事じゃん」
「そ、そ、そうなのか!?」
「束バッキーな先輩のせいで雷にゃんは普通を知らないままなんだ? かわいそうな雷にゃん」
「うっ……」
普通……普通の事……? マジで……?
今じゃその束バッキー先輩より、お前の監視人っぷりの方が強えけどな?
ダチ同士でAV観るのが普通だなんて知らなかった。 みんなひとりでシてるもんだと思ってた。
そんな話、……聞いた事も無かった。
裸のお姉さんがあんあん言ってるところを、どんな顔して観てたらいいんだ。
真剣に観てたら勃っちまうし、だからって笑って茶化すもんでもないし、「照れてんのか」って揶揄われるかもしんねぇ。
うわ、ヤバ、……このAVモザイクがめちゃめちゃ薄い。 男優のアレもお姉さんのアソコもほとんど隠れてねぇぞ。
「うぅーー……」
「恥ずかしいならベッド降りれば?」
「そ、そうする……」
両手で顔を覆って、でも男の心理としては観たいから指の隙間からチラチラ覗いてたら、いけない事してる童貞男子と女教師をマジで覗き見してる気分になった。
机とか椅子とか黒板とか、セットだって分かってても俺には馴染みが深過ぎてやけにリアルだ。
あぁぁ……ッッ!! こんなの観たらムラっちまうじゃん!!
なんで迅は真顔でいられるんだ!
生でやることやりまくってると、AVなんかじゃ動じなくなるってヤリチンの特権があんのか!?
パンツの中が痛い……っ。
お腹ら辺がムズムズする……っ。
これは……っ。
「───雷にゃん」
「ヒッッ!? な、なにっ!?」
「勃ってんの?」
ベッドに背中を凭れてた俺の右肩から、ぬっと迅に覗かれる。
どこをって、……股間を、だ。
「なっ!? 勃ってねぇよ! そんななぁ、俺はこのくらいのエロじゃ……っ、あっ!?」
「勃ってんじゃん」
そんなの確かめなくても察しろよ!
むぎゅっと大きな手のひらで股間を握られた俺は、迅の腕を叩いて前のめりになった。
バレたくなかった。
AVひとつでおっ勃てる中坊みたいだって、揶揄われるのがイヤだった。
「うぅ……っ、こ、これは生理現象ってやつでな、音ちっちゃくしてても声とかさ、裸とかさ、音とかさ、裸とかさ、……っ」
「パニクってんな」
「なんで迅は無で居られるんだ! それがヤリチンの恩恵っつーか特権っつーか、なんだな!?」
「恩恵と特権の意味分かってて使ってんのか、それ」
「分かってねぇよぉっ」
「来いよ。 それ、抜いた方がいいだろ」
そっとしといてくれりゃいいのに、チビな俺はデカな迅からひょいっとベッドに抱っこで移される。
言われなくてもヌきたいよ。 ヌきたいに決まってんだろ!
でもお前が居たらヌけねぇじゃん!
さっき握られたせいで余計にパンツの中が苦しくなってきたんだよ。
もうほっといてくれ……!
「あ、え、っ? いいっ、抜かなくていい!」
「なんで? ダチ同士でシコるのも普通の事だぞ」
「えッ!? それは絶対嘘だ! んな恥ずかしい事ダチ同士でヤるなんて……!」
「雷にゃん、これも経験無えんだ? 誰が一番早くイくかとか、誰が一番精液遠くに飛ばせるか、とか。 みんなやってるぞ」
「えぇぇぇっ!?!」
そうなのか───!?
世の男子高校生達はみんなそんな、大それたヌきっこ大会を繰り広げてんのか!!
ちょっと待ってよ、俺なんも知らねぇ。
知らねぇ事だらけで怖くなってきた。
ベッドの上、ヤリチンイケメン迅様に足で囲まれた俺、……この先は?
「まぁ雷にゃんは普通に抜くだけでいんじゃね? 早そうだしあんま飛ばなさそうだし。 俺と競うだけ無駄」
「へっ? あっ♡ 迅っ、待てよ迅! そんなためらいなくガッツリ握……っあぁっ」
イヤだとか恥ずかしいとか、抵抗する前に迅の手のひらが俺のパンツにズボッと侵入してきた。
AVが平気なヤリ迅は、野郎のアソコを握るのにも全然躊躇いが無い。
っていうか俺、初めてアソコを他人に握られた。
……あったかいのな、……。
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