線香花火

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 誰も言ってくれなかった言葉。  壮馬だけが、言ってくれた言葉。  その言葉は、私の心の奥底まで落ちていく。    そっと漂ってくる磯のにおい。それは、壮馬からなのか海からなのか分からなかった。  線香花火が静かに落ちるように。  私は、陸に上がった人魚に、二度目の恋をした。
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