線香花火

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 「こんなところにいたんだ!探した」  そういって後方から私の肩に置かれる手。またしても男。私は心底嫌そうな顔をして振りむこうとした―時だった。  知り合いのフリをして、と耳元に落とされた言葉。  信じていいものか疑いの眼を向ければ、そこにいたのは大学生くらいの若い男だった。私は戸惑ったのち、このやかましい男たちよりかはマシだ、と思い直してその男の言葉に従った。  「あれ?ごめんね、ずっとここにいたんだけど気が付かなかった」  あたかも待ち合わせしていました、と言わんばかりの雰囲気を取り繕いながら、私はその男に向き直る。  「彼女、俺と待ち合わせしてたんで。すいません、その手、離してもらえます?」  男は、そういうなり私の腕を掴む男たちを睨む。その凄味と言ったら、なかなかのものだ。男たちは、ぶつくさ言いながら離れていく。私の不機嫌さが、彼らに移ったようだった。その姿を横目に見ながら、私は目の前の男を見上げる。彼はいやに背が高い。  「すいません、助かりました。ありがとうございます」  ぺこっと頭を下げ、私はお礼を述べる。  「いえ、・・あの。あんな奴らの後であれなんですけど。良かったら、俺と出掛けませんか」  
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