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プロローグ
3月5日、ミヤが死んだ。
私が殺した。首に巻き付いた長縄跳びで使うような縄がぐっと食い込み、周りは赤黒く腫れ上がっていた。両面テープで貼り付けるだけの付け爪が剥がれる程に、その細い首に爪を立て、いくつも引っ掻いたような痕を残していた。
ぐりんと目をひん剥いて、いつもは見えなかった部分の白目まで剥き出して、私をじっと見つめていた。
体の震えが止まらないのはきっと、春はすぐそこだというのにまだつんと冷たい空気のせい。
その震えを実感した時、私はあんなにも欲しかった榛色の眼を欲しいとは思えなくなっていた。
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