かわいそうなストーカー

3/5
前へ
/5ページ
次へ
やはり、この辺りに隠れるところなどない。まだ道は続いているし、木の方に隠れようと思ったらそちらへ移動しなければいけない。しかし、女にそんな動きはなかった。 「おかしいなぁ」 独り言を呟きながらあたりを見渡した。 (ガサガサ) 木が揺れる音がした。 しかし、風など吹いていない。 いるのか。そこに。 俺はおそるおそる木に近づいた。 (ガサガサ) また、木が揺れて葉っぱのなる音がした。 しかし、やはり風は吹いていない。そして、葉っぱも揺れていない。 俺は怖くなってきていた。この音、一体どこから。 (ザッザッザッ) こっちに向かって何かが近づいてきている。 背後から何かが近づいてくる音がしたので、俺はふりかえった。 しかし、そこには誰もおらず音もピタッとやんでいた。 「誰か、そこにいますか?」 声をかけてみたが反応がない。 俺はもう一度木の方に目をやった。 (ザッザッザッ) その瞬間、また何かが近づいてくる足音が聞こえた。こちらへ近づいてくる。先ほどよりもどんどん大きな音になってきて、その音は背後で止まった。 確実に誰かがいる。しかも、真後ろにだ。俺は振り向くのが怖くなり、固まってしまった。 (ドン!) 「うわっ」 目の前に何かが落ちてきて、こちらへ転がってきた。 「なんだ?」 おそるおそるそれを覗き込んでみると、なんと人間の頭部だった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加