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やはり、この辺りに隠れるところなどない。まだ道は続いているし、木の方に隠れようと思ったらそちらへ移動しなければいけない。しかし、女にそんな動きはなかった。
「おかしいなぁ」
独り言を呟きながらあたりを見渡した。
(ガサガサ)
木が揺れる音がした。
しかし、風など吹いていない。
いるのか。そこに。
俺はおそるおそる木に近づいた。
(ガサガサ)
また、木が揺れて葉っぱのなる音がした。
しかし、やはり風は吹いていない。そして、葉っぱも揺れていない。
俺は怖くなってきていた。この音、一体どこから。
(ザッザッザッ)
こっちに向かって何かが近づいてきている。
背後から何かが近づいてくる音がしたので、俺はふりかえった。
しかし、そこには誰もおらず音もピタッとやんでいた。
「誰か、そこにいますか?」
声をかけてみたが反応がない。
俺はもう一度木の方に目をやった。
(ザッザッザッ)
その瞬間、また何かが近づいてくる足音が聞こえた。こちらへ近づいてくる。先ほどよりもどんどん大きな音になってきて、その音は背後で止まった。
確実に誰かがいる。しかも、真後ろにだ。俺は振り向くのが怖くなり、固まってしまった。
(ドン!)
「うわっ」
目の前に何かが落ちてきて、こちらへ転がってきた。
「なんだ?」
おそるおそるそれを覗き込んでみると、なんと人間の頭部だった。
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