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大男は、女性の方を見下ろして、ボソボソと喋る。 「ナツメ…陛下を、食堂へ案内してくれ、話しはそこでもできる。」 大男の言葉に頷いて、どこからともなく靴を出して、履かせてくれた。それから、手を取られぎゅっと握られた。 どうしたら、いいのかわからないまま、ただ、なるようになっていた。 大男がドアを開けるとふわりと体が浮く。 初めて体験する無重力。うまく、動けないでいると、女性がぐいぐいと体を引っ張って導いてくれる。 次に入った大きなテーブルのある部屋で、ストンと重量が戻った。 女性に促され、椅子に座ると、向かい合わせに大男も座る。 女性の合図で、たくさんの料理が次から次へと運ばれてきて、あっという間にテーブルの上がいっぱいになった。 「食べながらで、構わない。話しをしよう…」 大男の真剣な顔に息を呑んで頷いて、心の中で、いただきます、をして、フォークを手にする。どこから、手をつけようか悩んでとりあえず手前のソースのかかった魚のフライのようなものから食べると、とても美味しい。 なんだか、育ての母の料理を思い出してしまう。 あんな、事を言って…… 離れて初めて湧く気持ち… なんだろう… 「陛下は、御身の為、平和の星とされる地球へ幼い頃に宇宙船で流された。」 14年前、惑星クラチアは 侵略され、戦火に包まれていた。 第二銀河系を、統一した若き女王マリア・シフェル・クラチアだったが、第三銀河からの侵略にはなす術もなく… 腕に抱いた、産まれたばかりの我が子を守る為に…そして、いずれ、その子が、クラチアを取り戻してくれることを祈って 王家に代々引き継がれてきた、ラズリという守護石と共に第一銀河系にあるという、遠い遠い平和の星地球へと星の海を流されていく… そこでは、いずれクラチアの王として立つ為の教育を受けるようにと、そして、誕生日ごとにヒカルへの映像メッセージを添えていたはずだったのだが… ヒカルは1度もそれを見た事はなかった。 それどころか、本当の親の話しを聞くことも全くなかった。 こちらから、聞いたところで誤魔化されて終わり…知らないの一点張りだった。
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