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いい子のふりをしている
いい子でいる自分が、誇らしい
誰から見ても、優等生で
たくさんの友達に囲まれて
楽しく見える毎日を過ごして
周りの大人を安心させる
でも、そんな偽りの日常にお別れを言う日が来るなんて…
俺はずっと、演じて、普通からはちょっとイイオトナになるんだと、思っていたのに。
胸につけた、小さな手のひらに収まるくらいの藍青色の四角い石のついたペンダントを握りしめて、ベランダでリクライニングさせたガーデンチェアーに寝転がって宇宙を見上げる。
この星のようにたくさんいる人類の中で
俺を…
本当の俺を知っている人はいるのかな…
いても…
きっと俺が要らなくて、こんなことになったんだ。
「ヒカル〜!ご飯よ〜!」
下の階から、いつものように自分を呼ぶ優しい声がする。
さあ、演じよう…
当たり前の息子を…
ぴょんっと、飛び跳ねて起き上がり、明るい声で返事をする。
もちろん、偽りの自分。
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