wish.2

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きっと、どこかのお偉い様のお嬢様かなんかだろう。 「主人がいつもお世話になっております」 ニセモノの嫁がこんなことを言ってもいいのかしら。 チラッと主任を見るけれど、なぜか顔を背けてて。 うん? そっちの方に誰か知り合いでもいるのかな? あたしの視線に気づいて、コホンっと小さく咳払い。 「申し訳ありません、まだ挨拶に回らなければいけませんので、これで」 えー、あたし挨拶回りとかより食べたいんだけど。 こんなホテル、こういうことがない限り来れないんだから、食事を満喫したい。 そもそも、このパーティーってなんのパーティー? 「つかぬことを伺いますが」 「急に改まってどうした?」 「なんのパーティー?」 ソレを聞けば、マジか…という顔。 「…うん、昔からどっか一本緩んでいるとは思っていたが…ここまでとは…」 「バカにしてる?」 「はぁ…入口で看板見なかったのか?」 「メガネ外せって言ったの誰だったと?」 近くはなんとか見えるけど、少し離れた場所の文字なんか見えりゃしない。 こんなことになるなんて思わないから、コンタクト持ってきてないって。 「創立パーティーだ」 「どこの」 「ウチの会社」 ……あ! そういえば創立記念日そろそろだった。 でもパーティーなんか、一平社員が来てもいい場所じゃない。 だから、創立記念日だからといってパーティーがあろうがなかろうが、全く眼中になくて。 「気にすんな、誰もお前が社員だって知らない。他人を装え、嫁のフリを完璧にしろ」 イヤイヤ、なんで急に仕事モード? めちゃくちゃやりにくくなったよ。 完璧な嫁って何さ。
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