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「この度はおめでとうございます」
笑顔で挨拶をする相手は社長だ。
わかってるから見えない場所を小突いてくるのはやめて。
何も言わず笑顔で会釈すれば、社長の目が光る。
「羽室くん、この女性は?」
社長はいちいち平社員の顔なんて覚えていない。
故に、興味津々に見てくる。
そういえば、女好きって聞いたことあるな。
「紹介が遅れました、私の妻です」
「初めまして、主人がお世話になっております」
敢えて、主任はあたしの名前を言わなかったんだろう。
だから言わずに挨拶のみ。
「それは初耳だな」
「わざわざ言うほどのことではないかと」
なぜだろう?
社長と主任の間に火花が散っているような?
「それでは失礼します」
なんだか笑顔ですね?
なんの攻防があったんだろう?
聞いたら答えてくれるかな。
「主任」
「イヤ、お前、ここでは名前で呼ぶのが普通だろ」
社長と離れてから声をかければ、そんなことを言われる。
別に小声だし、誰かに聞かれるわけでもないからいいじゃない。
「主人でよいではないですか、主人で」
「…今日は許す」
なぜそんな渋々なのか。
……ん?
今なんて言った?
「えーと?」
「誰かこの一回きりだとか言ったか?」
「…はぁ?」
思わず声を荒げそうになった。
イヤ、おかしいでしょ。
なんでそんなにパーティーがあるのよ。
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