wish.2

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「この度はおめでとうございます」 笑顔で挨拶をする相手は社長だ。 わかってるから見えない場所を小突いてくるのはやめて。 何も言わず笑顔で会釈すれば、社長の目が光る。 「羽室くん、この女性は?」 社長はいちいち平社員の顔なんて覚えていない。 故に、興味津々に見てくる。 そういえば、女好きって聞いたことあるな。 「紹介が遅れました、私の妻です」 「初めまして、主人がお世話になっております」 敢えて、主任はあたしの名前を言わなかったんだろう。 だから言わずに挨拶のみ。 「それは初耳だな」 「わざわざ言うほどのことではないかと」 なぜだろう? 社長と主任の間に火花が散っているような? 「それでは失礼します」 なんだか笑顔ですね? なんの攻防があったんだろう? 聞いたら答えてくれるかな。 「主任」 「イヤ、お前、ここでは名前で呼ぶのが普通だろ」 社長と離れてから声をかければ、そんなことを言われる。 別に小声だし、誰かに聞かれるわけでもないからいいじゃない。 「主人でよいではないですか、主人で」 「…今日は許す」 なぜそんな渋々なのか。 ……ん? 今なんて言った? 「えーと?」 「誰かこの一回きりだとか言ったか?」 「…はぁ?」 思わず声を荒げそうになった。 イヤ、おかしいでしょ。 なんでそんなにパーティーがあるのよ。
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