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それから、たぶん二時間くらい。
あちこちで話す主任の後ろに、ずっとついていた。
愛想を振り撒くのに疲れて、口元がピクピクしてる。
「もう二度とパーティーとか行きたくない」
「あー、まぁ、別にいいよ」
帰る車の中、一人ブツブツと文句を言っていると、運転している主任からそんなお言葉。
「はぁ?だってさっきは一回きりじゃないって」
「イヤ、そのつもりだったけど、予想以上の反応だったから」
「反応?」
「…お前の今日の仕事」
チラッと主任を見れば、どこかおもしろくなさそう。
えー?
あたし何もやらかしてないよ?
「それはもう良い嫁っぷりを発揮してくれたから、どこぞの女を紹介されることもなくなる」
「そうですか」
そうは言うけど、ホント主任の後ろにいただけなのに。
あれでよかったのか、疑問に思うところ。
だけどまぁ、主任がいいって言うんだからいいんでしょう。
「それならよかったです」
それを最後に家まで送ってくれる間、ずっと沈黙が続いた。
何か話そうにも話題が浮かばないし、何より疲れすぎて考える気力がない。
でも、なんだろう。
この沈黙、会社だと恐怖で耐えられないけど、今はもうプライベートだからか逆に落ち着くというか。
特に話さなくてもいっかと思ってしまう。
沈黙がイヤなら、主任が話しかけてくるだろうし。
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