wish.1

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「お前、昨日のこと覚えてる?」 イイエ、全く。 覚えてなくて、口を塞がれたまま首を横に振る。 「だろうな、あれだけ飲めば」 「ふぐ、ほへへふふぁ」 「あー?何言ってんだ」 イヤ、手をのけてくれないからです。 あたしの力じゃビクともしない。 「わざわざ介抱してやったのにお礼もないとは」 ですからね? この手が邪魔なんですー。 ペシペシとたたいても気づいてもくれない。 どう、お礼を言えと? 「んー!」 「お?なんだ?」 口と若干鼻を塞がれて息できなくなってるんですけど! …あ、そうだ。 「!おっ!まえ!」 「…だって、こっちは息止められそうになってたんですよ」 「だからって、舐めるな!」 ペロっと手のひらを舐めたら、ものすっごい早さで手を引いた。 大きく深呼吸して呼吸を整えつつ、状況整理。 「あの、主任、ここは主任の家で間違いないですか?」 「ホテルに連れ込まれたかったか?」 「滅相もございません」 うん、どうやら昨日、あたしは記憶がなくなるほどしこたま飲んだっぽい。 それはまぁいいんだけど、なぜ主任宅に? 「さっき、介抱って言いました?」 「女一人置いて帰るほど腐っちゃいない」 あー、うん、プライベートだと会話噛み合いませんね。 「この度は大変失礼しました。迷惑をかけて申し訳ありません」
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