きみだけをみていた

wish.1

こめかみを押さえ、自分の着衣の乱れを確認するけど。
ただよれているだけ。

どうやら、いらぬ心配だったよう。

まぁ、さすがに手は出されないよね。
確か十個くらい年離れてるし。
そもそも、あたしになんて興味ないだろう。
あたしだって、主任だけはないと思ってるし。

新人の頃、あたしの教育係だった主任は、その頃からめちゃくちゃ厳しかった。
何度辞めてやろうかと思ったくらい。
結局、辞めなかったのも主任のおかげなんだけど。
でも、今でも厳しくて、鬼だと思う。

というか、会社では鬼主任って陰で呼ばれてるっけ？

そんな主任が、酔っ払いの介抱をして、しかもワガママを言った部下のためにご飯を作ってくれてる。
なんか、意外な一面を知ったかも。
仕事できるし、どうやら料理もできるっぽい。
さらには部屋がキレイ。

なんで、結婚してないんだろう？

「あぁ、鬼だからか」
「何が鬼なんだ？」
「ぅえ⁉︎」

今の聞かれて⁉︎

部屋に入ってきた主任はキョトンとしていて、内容は掴めてないよう。
これは、社内でなんと呼ばれているか知らない感じ？

そんなことより、そのキョトンとした顔かわいいですね？
ぅわー、なおさら謎だ。

「ヤ、なんでもないです」
「？まぁ、コレ食って薬飲め」

首を傾げる仕草がレアでかわいい！

…イヤイヤ、あたしが主任の萌えを見ても。