24人が本棚に入れています
本棚に追加
「いただきます」
なぜか、見られてるんですけど。
食べにっく。
「あの…何か」
「イヤ、気にするな、観察してただけ」
「余計気になります」
「あぁ、そうか、すまん、彼氏に申し訳ないな」
その一言にピタッと手が止まる。
「ん?どうした?」
「…彼氏なんて、一週間前に別れたのでいません」
「あぁ、だから昨日のあの飲みっぷり」
ポンポンっと頭を撫でてくる主任の行動が、なぜか泣かせようとしているようで。
子供扱いなソレをされるがまま、もう一度食べ始める。
…こみ上げてくる涙は耐えなくていいのかな。
「ごめんな、余計なことを言った」
「…イエ、主任のご飯おいしいです」
いつもみたいに容赦なくバッサリ切ってくれていいのに、なんで今日こんなに優しいの。
笑顔を見せるけど、伝う涙は隠せない。
「そうか、じゃあ一宿一飯の恩をしてもらおうか」
「へ?」
涙、いっきに引っ込んだよ。
普通はさ、慰めとかなんかあってもよくない?
ヤ、まぁ、主任に慰められてもどうかと思うけど。
聞きもしないし、さっきの頭ポンポンはなんだったの?
「ちょっと、俺の嫁になってもらおうか」
「よ、め?」
「ある案件があってな、そこに同行してもらう」
ん?
え?決定してる?
嫁?
彼女とかじゃなくて?
混乱するあたしを他所に、主任は楽しそう。
戻れるものなら、昨日の終業後に戻りたい…!
最初のコメントを投稿しよう!