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出会い
気が付けば、白い空間に居た。自分の身に何が起きたのかも分からない。背後に視線を感じる。振り返って見ると、美人な女性がいた。幻覚か……?
「私はそこに居て、其処には居ない存在です。」
意味の分からない事を急に話し出した。怖い……。
「私は女神です!貴方の心を読んで答えています。」
本当かなぁ?自分が怖い人認定され無い為の嘘じゃね?それでは、質問です。性行為は経験有りますか?
ふざけた質問をぶっこむ。これでは、お互いに変人だ。女神様は最高の身体をお持ちしている。美人な女性は大抵経験済みって、誰か言ってた様な気がする。
「……。」
女神様のスマイルが消えていた。ヤバい、消される!
女神様は真顔でクビを切る様な動作をした……!
俺の体が地面に吸い込まれて行く。
「まだ死にたく無い!やり残した事があるんだ‼︎」
死ぬ前にしたかったな……。
広大な草原で目を覚ました。
此処は天国か?いや、違うな。地獄だ。
3匹の狼がよだれを垂らしながら、俺を囲む。逃げ場は無い!大声で助けを呼ぶしか無い。
「誰かー!助けてー‼︎ ヘルプ、ミー!」
ドカドカ!ヒヒーン!
白馬に乗った騎士が狼共を薙ぎ払う。
「大丈夫か?坊主⁉︎丸腰じゃねえか!」
老騎士が目を見開く。モンスターが出る所に武器無しで転移させるとか、マジで鬼畜だよねー。この世界では、襲われたら殺される。その前に己の願いを叶えてやる!
「大丈夫じゃないです……。助けて頂きありがとうございます。」
馬車と騎兵隊が俺達の前に止まる。
「礼なら、うちの姫に言いな。」
……姫?王族?
ガチャッ!
可愛い子が馬車から出てきた。お礼を言わないと。
「姫様!助けて頂き、ありがとうございました!貴女に尽させてください!」
お金やまともな装備も無く、収入源が無いからだ。
今だけ助けられても生きて行けない。
「学園での警護はどうだ?姫さん。」
「私はただの貴族です。セレナ・ブルーマインと申します。貴方はどなたでしょうか?」
日本語なのに予想外の名前が出て来た!普通に石川 匠って名乗るのはまずいよなぁ。カッコいい名前無いかな……。カイゼルにしよう。カッコいい。
「カイゼルです。家名はありません。」
「カイゼルさん、一週間後から学園での警護をお願いします。それまでは白馬の騎士、ローレンに鍛えて貰います。」
カイゼルは訓練でローレンにボッコボコにされた。一週間、セレナと会う事無く修行を終える事が出来た。部屋に戻ると学生服と兵士の剣が置いてある。着替えて護衛対象を迎えに行く。今日から学園生活が始まる。
記憶が殆ど無くなり、身長が縮み高校生くらいになっていた。転移って言うより転生かも知れない。
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