彼等はまだ青春の狭間にいる。

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どんなに苦しくても、耐えられない胸の痛みが毎日続いても、一日は過ぎてゆく。 前に進むしかない。 だけど、恋は別にいらない。 もう疲れちゃった。 他のみんなみたく特に頑張ったわけじゃないのにね。 夏休みが始まると、夏季講習と部活の練習の繰り返しだ。 いつもはタクマや友達皆で花火大会行ったり、ランド行ったりしたけど、受験生だからと親がうるさいし、それにそんなに遊びに行きたい気分でも無かった。 「おはよう、島谷」 「おはよ。夏季講習でも部長の顔を見るとは」 「勉強嫌いな島谷が参加してるとは思わなかったよ」 「んー……やっぱ受験生だし。それに、特に夏休みやる事もないからねー」 夏季講習でも部長の顔を見る事にはなる。 「ゆるい気持ちでやってんな」 「部長は勉強大好きだよね」 「まぁ、俺も勉強するくらいしか無いしな、夏休みは」 「ガリ勉くんめ」 まぁ、部長はいつも学年トップ3には入る成績だしなぁ。 「そうだ、島谷。これ貸してやる」 「ん? 映画のDVD?」 「ああ」 「超意外! 部長がコメディ映画とか!」 「い、一応話題になった作品には目を通してんだよ」 「けど、前にコメディ映画は一切興味が無いって言ってなかったっけ。実際、部長ってサスペンスばっか……」 「ぶ、部長になったからにはそうも言ってられないからな」 「ありがと」 めちゃくちゃ笑えるって話題になってて気になってた映画だ、これ。 「莉乃ー、うるさい!!」 「お母さん、ごめんってー!」 帰宅すると、早速リビングで部長から借りたDVDを観る。 辛くて仕方ない時でも笑えるもんなんだなぁ。
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