6人が本棚に入れています
本棚に追加
どんなに苦しくても、耐えられない胸の痛みが毎日続いても、一日は過ぎてゆく。
前に進むしかない。
だけど、恋は別にいらない。
もう疲れちゃった。
他のみんなみたく特に頑張ったわけじゃないのにね。
夏休みが始まると、夏季講習と部活の練習の繰り返しだ。
いつもはタクマや友達皆で花火大会行ったり、ランド行ったりしたけど、受験生だからと親がうるさいし、それにそんなに遊びに行きたい気分でも無かった。
「おはよう、島谷」
「おはよ。夏季講習でも部長の顔を見るとは」
「勉強嫌いな島谷が参加してるとは思わなかったよ」
「んー……やっぱ受験生だし。それに、特に夏休みやる事もないからねー」
夏季講習でも部長の顔を見る事にはなる。
「ゆるい気持ちでやってんな」
「部長は勉強大好きだよね」
「まぁ、俺も勉強するくらいしか無いしな、夏休みは」
「ガリ勉くんめ」
まぁ、部長はいつも学年トップ3には入る成績だしなぁ。
「そうだ、島谷。これ貸してやる」
「ん? 映画のDVD?」
「ああ」
「超意外! 部長がコメディ映画とか!」
「い、一応話題になった作品には目を通してんだよ」
「けど、前にコメディ映画は一切興味が無いって言ってなかったっけ。実際、部長ってサスペンスばっか……」
「ぶ、部長になったからにはそうも言ってられないからな」
「ありがと」
めちゃくちゃ笑えるって話題になってて気になってた映画だ、これ。
「莉乃ー、うるさい!!」
「お母さん、ごめんってー!」
帰宅すると、早速リビングで部長から借りたDVDを観る。
辛くて仕方ない時でも笑えるもんなんだなぁ。
最初のコメントを投稿しよう!