彼等はまだ青春の狭間にいる。

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「これがタピオカ……」 「ここのミルクティー、大人気だからさ! 部長もいけると思う! いただきまーす! ん! やっぱ美味しいー!」 「い、いただきます……」 「どーお?」 「わ、悪くないが……一気にタピオカが飛び込んできてびっくりした」 「あははっ! あるある! 焦るよねー!」 ちょっとずつ、美味しいって感情戻ってきてるな、私。こうやって色んな感情取り戻して、全部全部忘れるのかな。 片想いしていた時の気持ちとか、思い出とか。 「島谷?」 「ここ、クレープも美味しいんだよ!」 「タピオカだけで腹いっぱいだ」 「だよねー!」 「今度は….…クレープ食べに行きたい」 「じゃあ、また行こう! 苺たっぷりのが良い!」 「ああ」 「でも、こうして部長と寄り道して帰るの考えてみたら初めてじゃない?」 「そういえばそうだな」 「はぁ、3年もあったのに」 「島谷はいつも忙しそうだったしな」 「友達やたら多いからねー! 毎日メッセージ通知音がうるさいの」 だけど、一番よく一緒に遊びに行ったのはタクマだったかな。 「今は受験生だから控えるべきだな」 「分かってるよ。そんな気分でも無いしさ!」 「けど、たまにならこうして付き合ってやっても良い」 「うん、ありがと」 他の友達といる時はつい無理して明るくしちゃうけど、部長と居るとなんか落ち着く。 「部長、これでようやくタピオカデビューじゃんっ」 「そうだな。思ってたより美味かった」 「食わず嫌い良くないよ!」 「最初、島谷と出会いたての時もそうだった」 「へ? 私と出会いたての時?」 「派手だし、やたら明るいし、俺とは真逆だから苦手なタイプかもしれないって」 「うわ、地味にショック!」 確かに最初の頃は警戒してる感じあったかも? 「けど、3年間島谷だけが俺と向き合ってくれたから。島谷を知っていくうちに好きになれたし」 「女の子に軽率に好きって言うのは誤解されちゃうよ? 部長」 「えっ! あっ……」 「大丈夫、分かってるから。特別な意味じゃ無いの! ありがとう、部長が本音で話してくれて嬉しいよ!」 部長はすごくピュアな人だな。 私の事、ちゃんと友達と認めてくれてるんだ。 「違うんだけどな……」 「ん? 何か言った?」 「いや」 最近、部長に気持ち救われてばかりだな。 本当、良い奴。
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