6人が本棚に入れています
本棚に追加
「これがタピオカ……」
「ここのミルクティー、大人気だからさ! 部長もいけると思う! いただきまーす! ん! やっぱ美味しいー!」
「い、いただきます……」
「どーお?」
「わ、悪くないが……一気にタピオカが飛び込んできてびっくりした」
「あははっ! あるある! 焦るよねー!」
ちょっとずつ、美味しいって感情戻ってきてるな、私。こうやって色んな感情取り戻して、全部全部忘れるのかな。
片想いしていた時の気持ちとか、思い出とか。
「島谷?」
「ここ、クレープも美味しいんだよ!」
「タピオカだけで腹いっぱいだ」
「だよねー!」
「今度は….…クレープ食べに行きたい」
「じゃあ、また行こう! 苺たっぷりのが良い!」
「ああ」
「でも、こうして部長と寄り道して帰るの考えてみたら初めてじゃない?」
「そういえばそうだな」
「はぁ、3年もあったのに」
「島谷はいつも忙しそうだったしな」
「友達やたら多いからねー! 毎日メッセージ通知音がうるさいの」
だけど、一番よく一緒に遊びに行ったのはタクマだったかな。
「今は受験生だから控えるべきだな」
「分かってるよ。そんな気分でも無いしさ!」
「けど、たまにならこうして付き合ってやっても良い」
「うん、ありがと」
他の友達といる時はつい無理して明るくしちゃうけど、部長と居るとなんか落ち着く。
「部長、これでようやくタピオカデビューじゃんっ」
「そうだな。思ってたより美味かった」
「食わず嫌い良くないよ!」
「最初、島谷と出会いたての時もそうだった」
「へ? 私と出会いたての時?」
「派手だし、やたら明るいし、俺とは真逆だから苦手なタイプかもしれないって」
「うわ、地味にショック!」
確かに最初の頃は警戒してる感じあったかも?
「けど、3年間島谷だけが俺と向き合ってくれたから。島谷を知っていくうちに好きになれたし」
「女の子に軽率に好きって言うのは誤解されちゃうよ? 部長」
「えっ! あっ……」
「大丈夫、分かってるから。特別な意味じゃ無いの! ありがとう、部長が本音で話してくれて嬉しいよ!」
部長はすごくピュアな人だな。
私の事、ちゃんと友達と認めてくれてるんだ。
「違うんだけどな……」
「ん? 何か言った?」
「いや」
最近、部長に気持ち救われてばかりだな。
本当、良い奴。
最初のコメントを投稿しよう!