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気が付いたら、だった。
私の心に変化が現れたのは。
「えっ? 部長、今日どうされたんですか?」
「コンタクトにした。本番中、眼鏡はかけられないし……コンタクトの方が良いと思って」
ある日、部長が眼鏡を外して練習に現れた。
「部長、おっはよう!」
「し、島谷! お、おはよう」
「やっぱ良いじゃん! 眼鏡無い方が!」
私は部長の背中を強く叩く。
「痛……」
「かっこいいじゃん」
「あ、ありがとうな……」
「けど、よく決断したね!」
「島谷が外した方が良いって言ったから」
「そっか! 眼科怖くなかったー?」
「んなわけあるかっ」
少しずつ、色んなものが変わっていく。
夏休みは夏期講習と部活の練習以外に予定を作る事は無かった。
暇な日は家で部長に勧められたDVDを見たり。
いつもは遊んでばっかだった夏休みなのに、今年だけは違った。
タクマの大会にも結局1度たりとも行けなかったな。
だけど、友達といたらタクマの最新情報が必然的に入ってくるし、自分から遮断するのが一番だと思ったから。
そうして夏休みが終わりを告げた。
「莉乃、おっはよー! 夏休み、全然遊んでくれないんだもんっ」
「ごめん、ごめん! 受験生なのに遊びに行ったりしたらお父さんがうるさいからさー! 私、バカだから勉強頑張ってたんさ」
「確かに莉乃、超バカだよねっ」
「やかましいわ!」
新学期になると、友達には遊びに付き合ってあげなかった事を咎められた。
「てかさ、部長くんどうしたの?」
「へ?」
「眼鏡してないけど」
「部長、夏休みから眼鏡やめたんだよ」
「マジか。結構かっこいいんだね、外すと」
「ん? そ、そう……だね」
クラスの皆はいつも眼鏡をしていた部長が外した事でざわついていた。
雰囲気大分変わるもんな、外すと。
「ぶーちょう! おっはよ! 注目の的!」
「へ、変なのか? やはり」
「違うよ! 皆、部長の隠れた魅力を見つけてびっくりしてるんだよ! 私はずっと前から知ってたけどー!」
「まだ落ち着かない」
「眼鏡外してこわーい雰囲気ちょっと無くなったんだし、笑うようにしてみたら?」
「わ、笑う?」
「そ。私といる時は笑えるんだからいけるって」
「島谷といる時は違うから」
「お? 私、そんな面白い?」
「島谷といる時だけ、落ち着くから」
何、それ。
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