彼等はまだ青春の狭間にいる。

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「そういう発言、私じゃなかったら誤解されちゃうよ?」 「島谷、俺は……」 部長が言いかけると、私はいきなり誰かに肩を叩かれる。 「莉乃、久しぶりじゃん」 「タクマ! おはよう」 「夏休み、全然連絡寄越さないから気になってたんだ」 「ごめん! 部活と勉強、頑張ってたんだ!」 「莉乃、そんな真面目な奴だっけ」 「生まれ変わったの!」 いざ、タクマと顔を合わせると気まずい。 「ユカがお前と遊びたいって話してたぞ」 「そ、そうなんだ」 タクマの彼女が……。 「最近、SNSも全然更新無いし……莉乃、どうしたんだ? おかしいぞ」 「別にどうもしないよ」 ほっといて欲しい、距離置きたい。 「全国大会くらいには来て欲しかったけどな」 「わ、私にだって色々あるのっ!」 「莉乃?」 「タクマにはユカちゃんがいるんだから、私の事なんか気にしないで」 何でこんな言い方してんだか、私。 可愛くない奴。 「はぁ、意味わかんね。何なんだよ?」 「俺の席の横でケンカはよしてくれないか」 私達のやりとりを聞いていた部長は呆れている。 「ご、ごめん。部長……」 「悪い」 タクマはその場から立ち去った。 「部長、ごめんね。巻き込んで」 「いや、島谷の気持ち分かりもせず勝手な物言いをするあいつが悪い。島谷は悪く無いから謝らなくて良い」 「部長は私の肩を持ってくれるんだ?」 「島谷が辛いの俺はよく分かってるから」 私が辛くて仕方ない時はいつも部長が救ってくれるな、最近は。 「ありがとう。いい加減、私も気持ち捨てないと! 受験生だけど、新しい恋するしか消せないのかなー? 気持ち」 「新しい恋……」 「とは言え、無理矢理出会い見つけるのも良くないんだけどねっ」 簡単に忘れられる方法があれば良いのに。 そしたらこんなに苦しむ事も無い。 「まぁ、あんま難しく考えすぎるなよ。ほら」 「あ、オレンジティー!」 「さっき学校向かう時見つけたから」 「あ、ありがとうっ」 また部長にオレンジティー貰っちゃった。 最近はタクマに貰った事を思い出してもやもやするから大好きだったソーダ水が飲めなくなって。 だけど、そのことに関しては気にも留めて無い。 最近、一番好きなのはこのオレンジティー……だったりする。 「莉乃、何にするー?」 「私、唐揚げサンドにする!」 「莉乃って本当唐揚げサンド好きだよねー」 「だって世界一美味しいし!」 「莉乃の世界希望ちっちゃ!」 昼休みになると、友達とお昼を買いに購買へ。
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