彼等はまだ青春の狭間にいる。

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「よし、こんな感じかな!」 「あ、ありがとう。 しーちゃん」 「莉乃、結構似合ってるじゃん。姫姿」 「か、髪長いの変じゃ無い?」 「可愛いよー! 自信持ちな」 「う、うんっ」 部活に行くと、衣装合わせが始まった。 早い段階で衣装を着てやった方が良いもんね。 たっかいヒールの靴と裾の長いドレスは慣れが必要だし! 着替えると、ウィッグとメイクを友達にやってもらい、人魚姫に早変わり。 「部長、どう? 私の人魚姫姿」 「ま、まぁ良いんじゃないか?」 「もう! 反応薄っ!」 そんな私を見た部長のリアクションは薄い。 やっぱり似合わないのかな!? 女の子らしい格好普段から着ない私がこんな女の子全開な格好したら違和感しか無い!? 元から自分に自信なんて無いけど、さらに無くしちゃう。 もやもやしつつも、私は練習に励んだ。 今更役は変えられないし、衣装もせっかく友達が作ってくれたから頑張って姫を極めるしかない。 芝居で魅せるしか無い! けど、何でこんなに部長のリアクション気にしてるわけ? おかしい、最近の私、おかしいよ!? これじゃあ友達皆が言う通り……。 私、部長が気になるの……? タクマ以外の誰かに惹かれた事は今迄に無かったから戸惑ってる。 けど、私は恋が怖い。 私みたいな女の子らしさも無ければ、可愛げの無い人間….…誰かが好きになってくれるとは思えない。 だから、暫くは恋なんてしたくない。 タクマの事を忘れる事でいっぱいいっぱいなはずだった。 なのに……。
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