6人が本棚に入れています
本棚に追加
「げっ、部長もう部活向かったわけ!? 私も早く行かなきゃ」
放課後になると、私は慌てて部活に向かう支度をする。
主役になった以上は早めに行って練習する時間に当てないと!
昼休みは結局友達といつも通り語りながらご飯食べて過ごしちゃったし!
「莉乃!」
「ん? 何? タクマ」
「ほら、やる!」
「うぉっ」
いきなりペットボトルを投げられ、頑張ってそれをキャッチする。
「昨日のお返しっ! 部活、頑張れよ」
「あ、ありがとうっ」
タクマが渡してきたのは私が一番好きなソーダ水だった。
「お互い部活頑張ろうなっ」
「おう!」
二人でグータッチをすると、私はタクマに軽く手を振り、部活へ向かった。
嬉しさのあまり、部活へ向かう足取りはいつもより軽く感じた。
「部長! 練習付き合って!」
「相変わらず偉そうな……」
「部長とは言え、私と同い年だし良いじゃん。一応、私が副部長だし」
「だが、俺が上司である事には変わりない」
「はいはい、部長様! 練習付き合ってくださいませ」
「はぁ、全く……」
そういえば、部長ずっと眼鏡だなぁ。
「部長さ、眼鏡外さないわけ?」
「は?」
「人魚姫のお父さんが眼鏡とか無いんだけど」
「ほ、本番は裸眼でやる」
「だめだめ! 部長、裸眼だとよく転んだりぶつけたりするじゃん!」
「うるさい。その時はたまたま調子が悪かっただけだ」
「あははっ。もしかしてコンタクト入れるの怖いとかー?」
断固として眼鏡貫いてるもんね。髪は真っ黒だし、制服も校則通り。漫画に出てくるガリ勉キャラかよってくらい真面目すぎる部長。
「こ、怖いわけないだろう!?」
「あ、怪しいー!」
「はぁ、練習始めるぞ!」
なんか誤魔化された気がする、まぁいっか。
「眼鏡、外してみたら? 私は部長、眼鏡外した方が良いと思うよ!」
「え?」
「さーて、練習!」
眼鏡してるから威圧感あるように見えると思うんだよね。部長、嫌な奴じゃないのに嫌な奴に見られて勿体無いもん。
まあ、言動もあるんだろうけど……。
「ただいまぁ」
帰宅すると、練習疲れで私はすぐさまベッドにダイブする。
「ちょっと莉乃ー! ベッドでそのまま眠らないでよね? ご飯もうすぐなんだから」
「分かってるーって!」
私は眠らないよう我慢しながら、スマホで友達とやり取りをする。
最初のコメントを投稿しよう!