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209. 『草原の魂』
モンゴル Mongolia 1995
本日は夏真っ盛りということで、かつて小生が真夏の草原の国で体験した心温まるエピソードを紹介します。
紀行文『草原の双コブラクダ』の作中にも回想場面があるのですけど、首都のウランバートルから地方都市へ向かう長距離バスの道中でその出来事は起こりました。
見渡す限り真っ直ぐな草原上の道路をゆく小生を乗せた長距離路線バスが、何の変哲もない川を越えた瞬間、橋のたもとでいきなり急停車!!🚌
すると、運転手と車掌を含めた数人の屈強な男たちがバスを飛び降りて、河原に向かって一目散に駆け下りていくではありませんか!
ってことは、マシントラブルではない…、いやバス🚌ガス爆発するから逃げた?
…と何が起こったのか判断しかねていると、周囲の乗客たちが一人、また一人とバスを降りはじめ、いつの間に橋のたもとに先行した男たちを見下ろす人だかりができていました。
ワンテンポ遅れて下車し彼らを背後から写したのが本日の一枚目。
その彼らの視線の先をたどって、ようやく事態を把握した小生!
写真では点にしか見えませんが、先行した男たちは何と!その辺りに放牧されていた子牛が川に落ちて溺れていたのをバスの中から察知して、わざわざ公共の路線バスを停めて、助けに走ったのです!!
気付くのが遅すぎて現場の写真を撮れなかったのは写真家としてあまりに不覚でしたが、子牛の救助は無事成功!
その後、まるで何事もなかったかのようにバスは再び草原の一本道を走り始めました。
赤の他人の家畜を助けた彼らの男気にしびれてしまった小生でしたが、それと同時に、先を急いでいる人もいたであろうに、その間何一つ文句も言わず、ただただ優しい眼差しで温かく状況を見守り続けていた、全ての乗客に手放しで拍手👏を贈りたい気持ちになりました。
相互扶助に根差した『草原の魂』ココに有りといったとびきりのエピソードでしたが、あれから四半世紀以上の時が経って豊かになったモンゴルに、当時の彼らのような心意気がまだ息づいているだろうか…と暑い夏の夜に、かつて感動をくれた草原の国へ想いを馳せる小生でありました。
子牛が男たちに救助されている間、止まっているバスの車内は中に居られないほど高温になるため外の日陰に避難する乗客たち。
オッサンの頭の照り返しが危険な日差しを物語っています。
でも、不満や文句を口にする人は一人もいませんでした。
バスの乗務員と乗客の皆さん。偶然とはいえ、ほんとうに素晴らしい経験をありがとうございました!
嫌な経験も多々ありますが、時折こうした瞬間に出会えるからアジアの旅はやめられません!
おしまい
次回水曜日の東南アジア編はマレーシアのクアラルンプールからです。
※前回のお答えコーナー
<→ルカさん>
多分ですが、収穫した小麦などの穀物を杵と臼ですりつぶしているんだと思います。100年くらい前の日本の農家でもこれくらいのことは普通にやっていたかもですね。
<→砂たこさん>
なかなかよく考えて造られてますよね。日陰で風通しも良く、突然の雨でも安心です。確かにこの手の仕事を男性がやっているのはほとんど見たことがないですね。山へ柴刈りか猟にでも出かけているのでしょうか?(笑)
<→梅さん>
その唄って並木路子 - 森の水車 (1951)でしょうか?もしそうなら探すと出てくるものですね。YouTubeで聞きましたが耳に残る曲でした。高床式の理由は恐らくメコン川沿いなので川の氾濫や大雨対策かと思われます。あとは学校でも習いましたが、穀物の保存ですかね。
<→花奈江さん>
日常に入り込む技、持ち前の図々しさを良い方向に持っていくのは得意かも知れません。未確認ではありますが、働く女子供を差し置いて、オッサンSが頭上の床上でお昼寝している可能性は大ですね(笑)
<→蜜原さん>
ナルシシズムがゴールというより、最初からナルシシストじゃないとできないような気がしますが、意見は割れそうですね。お嬢ちゃん、自然な表情が撮れました。
<→いでちゃんさん>
日本の昔の水車なんかは粉ひきが主目的だったみたいですね。人力ですが女性陣が頑張っているのがアジアなんですよね。高床式は屋内に居ても床下に居てもそこそこ涼しいです。クーラーの無い時代の知恵みたいなものですね。
<→一花さん>
もののけ姫の『たたらば』よく分かります。女衆が足ふみのふいごで炉に空気を送っていたやつですよね。懐かしい!
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