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212. 昆布のストック(知床昆布番屋編第二回)
日本 Japan 2016(北海道 Hokkaido)知床岬
本日の日本編は前回に引き続き知床岬赤岩の昆布番屋から。
今回は漁師さんの採った生昆布がどのような手順で扱われていくかを順をおって説明していこうと思います。
前回は古い写真を使いましたが、今回は分かり易さを重視して近年のカラー写真を使用いたします。
ここ赤岩では海で採られた昆布が直ぐに浜や乾燥機で干されることは漁初日以外ほとんどありません。
理由は、漁が朝の六時から正午までと決められていることと、赤岩の土地が東に面した崖下に位置しており、午後二時頃には日陰に入ってしまうことを考慮すれば、翌早朝より浜に干した方が長時間乾燥させることができるからです。
正午になり、番屋前の浜に漁船が戻ってくると(↑)、生昆布は一旦波打ち際に降ろされ、それらをヒモで縛り10本程度ずつの束にしていきます(↓)。
千本越えは当たり前なので、気の遠くなるような単純作業ですが、毎日同じことを繰り返していると、人間慣れていくものです。
最初は小生もコレを見た時、気を失いそうになりました(笑)
縛られ束になった生昆布はもう一度海へ。
ご覧の通りのパワー系の重労働ですが、アルバイトのJKコンビの活躍でこの豊漁年は何とか窮地を乗り切ることができました。
海に戻した昆布は再び舟に積み込まれます。
飛沫を浴びてJKもびちょびちょです。
ヒモで束ねられた大量の昆布はこんな風に番屋正面の沖に運ばれ…、
ブイ(浮き球)で海中に沈められている綱に等間隔で縛られ大量にストックされます。
これらを翌朝の夜明け前より浜に干せる分量だけ舟で陸揚げし、夏の長い日照時間を最大限に利用して浜に並べて干すことになるのですが、それは次回のお話といたします。
ちなみに、赤岩以外の昆布番屋、つまり羅臼の町の番屋ではその日採った生昆布は全てもれなく陸揚げ直後に重油ボイラーによる乾燥小屋に入れられてしまいます。
ですから、『羅臼昆布』と銘打つ製品のなかで純粋な天日干しを行って乾燥させたものは赤岩の番屋産だけだったということになるのです。
この違いは夏の間、雨天が多く天候があまり芳しくない羅臼と異なり、半島先端部の赤岩がオホーツクの夏の高気圧の影響で晴天が多い事にも起因するのですが、晴れの日を待って生昆布を腐らせてしまえば元も子もありませんので、製品の安定供給を目指す漁協組合的にはやむを得ない方法と言えます。
ですが、赤岩の昆布番屋がすべて撤退した今、天日干しの羅臼昆布が無くなったという事実は小生としても残念でなりません。
本日は恐らく言葉不足で分かりにくい説明が多かったと思いますが、不明の点があれば、どうか遠慮なく質問してくださいね。
次回二週間後のの知床昆布番屋編はいよいよ夏の風物詩、『昆布の絨毯』です。
おしまい
※明日の9日(月)~16日(月)まで都合により夏季休暇をいただきます。
次回は18日(水)の東南アジア編からとなりますのでよろしくお願いします。
※前回のお答えコーナー
<→ルカさん>
これだけ、乗っても沈まないんですから、舟って凄い乗り物ですよね。こんなワイルドでアバウトな経験も今となっては良い思い出です。
<→梅さん>
アジアのしとしとピッチャン☔は日本でいうところのゲリラ豪雨ですから、もう地獄絵図間違いなしですね。遭遇はしませんでしたが、きっとそういう場面もあったことでしょう。
<→花奈江さん>
出航前は皆、特等席ゲットでドヤ顔したましたが…(笑)、そういうアホな失敗も含めて「アジアの旅」という時代模様でした。
<→蜜原さん>
インドとかバングラデシュの汽車も凄い影像ありますよね。あちらがより凄いのはほとんどの乗客が運賃を払っていないであろうという事実です(笑)
<→砂たこさん>
乗車率200%の苦しみと不快感は想像にお任せいたします。『子連れ狼』もちろん私もリアルタイムではないのですが、子供の頃は夕方とかに民放でその手のドラマの再放送バンバンやってましたので、そのながれで見ちゃいました。大人になった大五郎の転落人生もまたドラマチックでしたが…(笑)
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