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232. 『えっ!?せっかく干したのに…何で?』
日本 Japan 1998(北海道 Hokkaido)知床岬
早いもので知床岬昆布番屋編も今回で第五回となりました。
初回より最果ての地でおこなわれていた大自然との格闘ともいえる厳しい労働を紹介してきましたが、今回はこれまでの抜けの良い爽やかな印象を凌駕しかねない驚愕の事実が発覚します!!
まずは上の写真、「何だよ中建!また昆布干しの写真かよ!いい加減こんなので驚くわけないだろ!飽きるわ!」な~んてブーイング👎が聞こえてきそうですが、違うんです。
実はこれ昆布を干しているんじゃなくて、逆に湿らせているんです。
これまでさんざん時間と労力、さらに油代までかけてカチカチに芯まで干し切り、ムシロでくるんで納屋にストックしていた昆布をあろうことか、写真のように夕刻の浜辺に並べ、気温が下がって降りてくるであろう夜露を利用して緩やかに全体を湿らせていくんです。
作業の名称もそのまんまズバリ『湿り』!
最初にソレを知った時には余りの理不尽な事実に腰を抜かしそうになった小生ですが、何故わざわざそんなことをするのかというところは、再びクイズ形式といたしますので我こそはという方はチャレンジしてみてください。
さて、この『湿り』という作業順調に夜露が降りてくるならさほど問題ではないのですが、夏の短い北海道、八月も中ごろとなると次第に乾いた秋風が立って、その湿らせる時間がどんどん長くなってしまうのです。
通常であれば六時頃に夕食となり、翌朝三時過ぎには起床して日課である生昆布干しが始まることを思えば、遅くても八時頃には消灯就寝といきたいところなのですが、その『湿り』作業が順調にいかなければ、そのまま睡眠時間が削られるということになるのです。
因みに適度な柔らかさまで湿ることを『湿りが入る』と言います。
そんなん霧吹きでも使ってまんべんなく水かければいいやん!と思われるかも知れませんが、羅臼昆布の製造工程の中ではそれが一番の禁じ手!雨に濡らすなんかも絶対にNGなんです。
まぁ、実際にやってみてもなかなか全体をまんべんなく湿らせるのは難しいんですけどね。水滴の痕とか残っちゃって(笑)…ってやったことあるんかい!
夜中になってようやく湿りが入ると、ヘッドライトなどの明かりを頼りに浜に並べた昆布を回収、再びムシロにくるんで納屋に運び込みます。
こうなると全然寝た気がしなくて、翌日の作業は体が重たくなります。
昆布の消費者には全く分からないであろう謎の苦しみなんです。
羅臼昆布に欠かせない謎の作業工程『湿り』いかがでしたでしょうか?
再来週の第六回ではついにその理由が明らかになります。
タイトルは『呪いの呪文そら〇け!そら〇せ!』です。
おしまい
明日月曜日の中国編は雲南省からです。
※前回のお答えコーナー
<→ルカさん>
バンドのアルバムのジャケット写真なんかによくこういう演出がありますけど、なかなかこういうパターンは自分でいうのもなんですが珍しいと思います。まさにゲッツ!
<→新城さん>
子供の笑顔に写し込める+αの何かを探し求める中建です。
<→砂たこさん>
おっしゃる通り、カメラや撮影の意味を理解していなかったというのが正解かも知れませんね。知っている人なら子供でも「今撮ったでしょ、はい一ドル!」とか平気で言ってくる国でしたから(笑)
<→梅さん>
わざと目線を外すなんてプロのモデルの技ですから、この子たち末恐ろしい限りです!オッサンの方は📸向けたら舞い上がっていたので、まぁ素人ですね(笑)
<→倉橋さん>
旅をしていると、想定外の出会いがあるものです。22ページ
本郷功次郎といえは特捜最前線ですよね?23ページ
<→花奈江さん>
視線をカメラに送られると「ニコパチ写真」とか言われて玄人の評価はさがるのですけど、そういう意味ではお澄ましさんの方が作品にはしやすいですね。
私個人は「ニコパチ写真」が大好きなんですが…、今回のは良い意味で裏切られた感じかな。
<→蜜原さん>
ハイレゾとかですかね?それなら聴き応えありそう!さすが蜜原さん、フエをよくご存知で。ベトナム戦争では激しい市街戦が行われた街で王宮跡の城壁に弾痕がたくさん残っていました。下にその写真載せておきます。
<→花果さん>
子供は乗り物好きですから、📸をいじるにはまだ幼過ぎるかと!←負け惜しみ
<→いでちゃんさん>
カメラ自体を分かっていなかった←それは確かに言えているかもです。何の変哲もない場所ですからきっとオッサンのシクロのほうに興味がいっちゃったんでしょう。お陰で面白い一枚がゲットできました。
蜜原さんへフエ王宮跡地、城壁に残る市街戦の弾痕跡。
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