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ある日の駄目神様とヒビナ君
俺には前から気に入らない事がある。
「おい」
空中で俺の愛しのサティのおにぎりを食っているそこのお前だ。
姿は見えないがそこにいるというのは分かっている。
「聞いてるのか?役に立たない神」
「……ごくっ……うるっさいなー少年。まだ食べてるでしょう!」
お前は○の国からの○郎さんかと思ったが絶対通じないので言わないとく。
「うるさいのはそっちだ!
毎日毎日…サティとイチャついて…俺のサティなのに…」
「血族でもないのに俺のとは?親でもないのにサティの所有権でも持っているのかい?」
「契約書を書かせた!それに、毎日俺達は愛し合っている」
サティとの間抜けなやり取りを聞いているとこの見えない神が幼く無知な存在に想像出来るのに、最近知ったのは…こいつは本当に神としての知識もあるし、簡単に俺を言い負かす事が出来るという存在だということ。
実に腹立たしい。
「ふーん。どうでもいいけど。
サティの事は気に入ってるし、ご飯美味しいし、これからも懐かせてもらうよ」
「なっ…イチャつくなって言ってるだろう!」
「嫉妬?嫉妬なの?
おぉ、怖い。サティが聞いたらなんて言うかな?」
「は?ふざけるなお前…くそっ!」
駄目神を掴もうとするが空振りし、俺はシートに顔から突っ込む。
「ぐぬぬ…」
コンコン
宇宙船の窓を叩く音がしてそちらを向くとトイレにいっていたサティが立っていた。
すぐさま俺は宇宙船のハッチを開け、サティを中に入れるが…
「うぇええーんサティ!ヒビナが僕に暴力を振るおうとしたぁっ!えーんっ」
「なっ?!」
さっきとは全く違う態度で駄目神はおそらくサティの胸にすがりついているのだろう。サティの胸の辺りの服にシワがよっている。
「ヒビナぁ…駄目神様をイジメるなって言ったよな?」
「イジメてない。俺は何もしていない」
「ううう…殴ろうとしたよ…捕まえてあんな事やこんな事しようと…」
…コイツ…絶対いつかぶっ飛ばす…。
「ヒビナ…お前、オレ以外に駄目神様にまで…超、軽蔑するわ…」
「待てサティ。そいつの言うことは嘘だ!俺は本当に何にもしてないし、しようとしてない!」
「…今日の仕事終わったらオレ、ホテルに泊まるわ。勿論一人で」
な…それって今日は…サティと出来ないって事か?!
それは死んでしまう!
爆発して死んでしまう!
「悪かった…謝る…」
「オレに、じゃなくて駄目神様に謝って?」
サティは何かを両手で掴むようにしてこっちに向ける。おそらく、その手には駄目神がいるんだろう。
「…すまなかった…大人気ない事を言った…っいたたたたっ!!」
俺が手を差し出すとあろうことか噛みつかれた。
「ちょっ?!駄目神様?!」
「許さないもーん。今日は一人で寝るといいよヒビナっ」
「くそっ!コイツ…!」
見えないから捕まらない。
…ムカつく!
「バーカバーカ!」
「…お前絶対泣かす」
「お前らこんなことしてないで、早く任務行こうぜ?今日は現地でキリオと合流なんだ」
…そうだった。
あの犬男と共同作戦なのだ。
「あーぁ。キリオにあうの楽しみ」
…サティ。お前は本当に分かってない。
俺がこんなにサティを想っているのに。
いつになったらこの想いは届くのか?
「サティ、だーい好き!」
「オレも駄目神様が気に入ってるよ」
…おのれ駄目神…
「…俺だってサティが…好……きだ…」
「あ?何か言った?ヒビナ」
撃沈しても俺は諦めない。
必ずサティを俺だけのものにしてやる。
END
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