付録1、キャラクター設定等

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付録1、キャラクター設定等

<各キャラクターの詳しい設定> ・ハルカレンディア 名前:Halcalendir  意味は、葉陰(或いは単に陰)の緑。由来は黒い髪と葉色(柳緑色)の瞳から。愛称はハル。  見た目は二十代後半~三十頃。実年齢は四百歳を越えているが、エルフ達の中ではやや年若い方であり、なにかと「魔大戦後生まれ」と侮られる。  エルフの中では平均的な身長だが、他種族に比べると高い。野盗の砦においては、ハルカレンディアより背が高いのは、現在はアギレオのみ。物心ついた頃から騎士になるべく鍛えてきたため、逞しい体格の部類。  緩いうねりが出るタイプの癖毛で、伝統的に長髪が多いエルフとしては珍しく、項を覆う程度の短髪。艶のある黒い髪。  瞳は、明るく青みの強い黄緑色。色の和名、柳緑が該当。  エルフ故に男性としてはやや線が細いが中性的な見た目ではなく、印象としては、多少堅物そうながらも中々の色男といった風。  魔大戦で共に騎士と軍人であった両親を亡くし、当時の王子に引き取られ、騎士隊で育てられた。  弓の名手であり、その代わり剣を始めとする近接戦の腕は十人並み程度(軍人としての中程度であり、民間人とは比較にならない)に留まる。  冷静かつ公平、人好きのする人柄もあって指揮に向くと判断され、騎士隊の中でも多勢をまとめる連隊長に任じられた。  見た目よりも雄々しく、精神的に非常に強靱で冷静。礼儀正しく細やかではあるが、色々無頓着な面もある。ごく真面目な性格はエルフの中にあっては目立たない程度であったが、奔放で多様な野盗の砦の中では若干天然と受け取られがち。  エルフを愛する典型的なエルフであり、それが何千年に及ぼうとも、育ての親である王子ラウレオルンに生涯全てを捧げようと考えるほどに深く慕っていた。  その思想のせいもあり色恋沙汰にはあまり縁も興味もなく、一人だけ付き合ったエルフの女性には「あなたは私を必要としていない」と断じられ、振られている。本人もその言葉に納得し引き下がる程度には、当を得た指摘であったらしい。 ・アギレオ 名前:Aguileo  鷲を意味するアギラの人名変化で、アギレオ。あえて訳すなら「鷲の男」。男子に勇猛な名をつけるヴァルグ族の習慣から。短い名前なので愛称は特になく、お頭(おかしら)と呼ぶ者が多い。  褐色の肌で頭部には一対の角があり、長く伸びた犬歯は牙を成している。瞳の色は、瞳孔の周りの砂色から、広がる途中で天色に変わる混色。現代ではアースアイと呼ばれる配色。  長身、大柄で筋肉質。見るからに近接戦闘タイプの体型。とびぬけて戦闘に長けており、愛用の武器は一対の曲刀で二刀流だが、近接武器であれば何でも使いこなすほど。  野盗の砦に住む者の多くが何らかの事情で行き場なく身を寄せているが、アギレオは少し事情の違う、いわゆる流れ者。  海の向こうの西の大陸に住む、ヴァルグ族という希少な山岳民族の出身。  流浪と海賊を経て、元海賊であり同じ船に乗り合わせた先代の頭領との縁により、二代目の頭領を務めている。  また、若い頃に、砦に身を寄せていた女性と夫婦になったが、生まれつき病がちで身体の弱かった妻はすぐに亡くなった。  特に人に語ることもないが、バイセクシャルで、悪党には縁の深い色事にも長けている様子。  性格は、大らかで兄貴分肌。良くも悪くも明るいが、もちろん、野盗の頭領がつとまる冷酷さ、残虐さも持ち合わせている。 ・リーとルー 名前:Mondlied(モーントリード) 意味は月の歌。愛称はリー。  狼の祖霊を持つ獣人の男性。ルーの夫。  灰色の髪と琥珀色の瞳を持つ。野盗の砦では、頭領であるアギレオ以外に決まった役職や地位は設置しないが、実質的なナンバー2であり、アギレオの右腕の役割を担う。  どちらかといえば物静かで、親切。  狼の姿での殺傷力を中心とし、人型では汎用的な長剣の使い手。  元は、狼の獣人と人間、二つが寄り添う集落に住んでいたが、ある満月の夜に人狼が人間を襲ったと騒ぎが起こり、人間側から復讐。仲良くしていた人間とすぐに事を構えられない人狼達は大半が殺され、残った者も集落を離れて散り散りに。魔物から二つの集落を守っていた人狼がいなくなり、人間の集落もすぐに滅びたという噂。 名前:Mondblume(モーントブルーメ) 意味は月の花。愛称はルー。  狼の祖霊を持つ獣人の女性。リーの妻。  ルーと同じ灰色の髪と琥珀の瞳。実質ナンバー3に当たるが、むしろ女性陣のまとめ役として動くことが多い。夜行性の獣人と昼行性の人間達の連絡係を担うのも大抵は彼女。  親切ではあるが、どちらかといえばリーよりも激しいタイプ。立ち位置のせいもあり、意識的にお節介に振る舞うことも多々。  狼の姿での殺傷力を大いに生かし、両手に短剣を握る戦闘スタイル。  リーとは幼馴染みで、若い頃に夫婦になり、生まれた集落を去った時も含めて一時も離れたことがない。  元いた集落での事件が、長く寄り添う内に、力で勝る獣人に頼り切るしかなくなった人間達の鬱屈から端を発した闇であることに薄々気づいていた。 ・魔術師レビ 名前:Celebsir(ケレブシア) 意味は銀の川。銀髪が由来。愛称はレビ。  エルフと人間の間に生まれた半エルフ。  癖のない銀髪は白に近く、普段はちょっと雑っぽく(見せたい)上げて結っている。下ろすと胸辺りまである。瞳の色は珊瑚色。  魔術の使い手としてはかなり優秀な部類であり、その研究・研鑽に余念がない。  元はハルカレンディアと同じ王都の出身。  王都と称されるクリッペンヴァルトの森は、原則的にエルフの領域であり、他種族と交わることの少ない彼らは、悪気なくやや排他的。また、様々な面で他種族より優れることもあり、ことに職務等では合理的にエルフ優先になりがち。  エルフ達のエルフ中心思考は種族的特徴だが、であるが故に半エルフであった彼には居心地が良いものではなく、その中で育つ過程ではエルフの悪い面も当然見てきた。  殊の外、魔術に優れるが故に、その実力よりもエルフであるかどうかに左右される王都に嫌気が差したのが切っ掛けとなり出奔、戦力として求められる野盗に身を落とした。  その出自と若さ故に素直になれない場面もたびたびあり、本人も少しもどかしい。 ・リュー 名前:Fruhling(フリューリング) 意味は春。春に生まれたことから名付けられた。愛称はリュー。  山猫を祖霊に持つ獣人。  小柄なわけではないのだが、周りがデカいせいで小さく見えがち。  元は山猫の集落で暮らしていたが、付近に人間の集落が築かれると山猫たちは夜な夜な家畜を襲うようになり、反撃を受けて散り散りになった。  嗜虐趣味があるが、基本的には楽天的で前向き。 ・ナハトと山犬たち 名前:Nacht(ナハト) 意味は夜。人型でも獣型でも黒い毛並みから。短い名前のため、愛称はない。  山犬を祖霊に持つ獣人。  黒髪に黒い瞳。表情のせいもあって見るからに悪辣そうな鋭い顔。意外にエロ顔。  砦のある山に元から棲む山犬の一族。  先代の頭領である船長が山犬の集落で暮らし始めた時には、そこが山犬の縄張りだったが、人間が増え、出入りするのを煩わしがって次第に山犬達は少し離れた場所に縄張りを移した。  この山犬達には、野盗の砦に混じる者と混じらない者があり、ナハトは単純に前者。また、両者には特にわだかまりはなく交流もある。  露悪的で変態、快楽主義者だが、こう見えてルーに次ぐ実力者であり、どうしても避けられず必要な時は組織的な動きもする。  獣人の変身能力を生かしながら汎用的な長剣を使う一般的なスタイルが主だが、気が多い性格もあり、鉤爪や戦斧なども気分によって使い分ける。  砦の獣人には山犬が多くなりがちで、山犬同士の絆は強い。やや精力的な一面があるようで、牢に閉じ込められたハルカレンディアを蹂躙したのは圧倒的に山犬達。若い者が三人おり、まだ未熟であるとして、困難な戦闘には出されず修行中。 ・狐の獣人たち Dammerung(デンメルンク、愛称はメル。作中に登場)、Flamme(フランメ。愛称未設定、作中に登場せず)の兄弟と女性が一人いる。  共に狐を祖霊に持つ獣人。兄のデンメルンクには同じく狐の獣人の妻(作中に登場せず。名前等の設定なし)がいる。弟のフランメはまだ独り身で、ハルカレンディア陵辱部隊の一人。  デンメルンクの妻は、ルーと共に獣人達の食事を作ったり生活部分の多くを支えたりと、獣人女性組として忙しい。 ・コウ  鉱人。名前を持たない種族であるため、コウと呼ばれている。喋るのも少し苦手。  灰色を帯びた肌色をしており、体毛はない。瑠璃紺色の瞳。  故郷の山がドワーフによって掘り尽くされ、住めなくなった。お詫びとしてドワーフから金属加工の術を教わり、通常は鉱石を加工しない鉱人の中では珍しく、石や金属から道具等を作り出すことができる。  他の種族にはあまり関心がなく、個人的な動機以外では敵にも味方にもならない。 ・人間たち  作中に出てくる以外の設定があまりありませんんッ。  獣人達に守られる一方というわけではなく、戦闘に参加する者もいるが、どうしても特徴として戦闘面では獣人ほどの活躍はしない。ただし、砦に暮らすには最低限自分の身を守れるようにと、それぞれ何らかの武器を扱う。 ・エルフ王 ラウレオルン 名前:Laureorn  意味は、黄金(金属ではなく色)の樹。見事な金髪と、国の柱になるという生まれついての必定から。  クリッペンヴァルト国の新エルフ王(作中で戴冠。それ以前は王子)。  光を帯びて見えるほどに輝く黄金色の髪は、背を覆う長さ。透き通った深碧色の瞳。  四百余年ほど前に起こった、著しく増加しあらゆる種族を脅かしたオークをはじめとする魔物との激しい戦、魔大戦と呼ばれるそれに騎士として参加した。  戦後、戦災で親を失ったハルカレンディアを偶然引き取ったのが切っ掛けで、育てる者のない、あるいはあっても苦しい状況の子供達を育てる施設を設けた。長く所属していたこともあって、子供達の育成は騎士隊が中心となって引き受け、そこで育った者の多くは自然と騎士隊に所属するようになる。ただし騎士隊は伝統的に男子のみで構成される、やや古めかしい組織であり、現在までは、女子は別の軍属に就くか、もしくは軍属せず他の職を受け持つことが多い。  他種族と共存することを良いと考える、エルフとしては変わり者の部類。  父王に何らかの手段で退位を迫り、王位を得たが、その経緯を知る者は誰ひとりとしてそれを語りたがらず、知り得る立場の者は追求したがらない。殺してはいないと本人は言う。 <固有名詞と言語>  登場人物の紹介でキャラクターの名前のつづりを色々ご紹介しました。  不勉強ながら、作中で使う固有名詞には一応ルールを設けていましたので、ここではそちらを書き留めておきます。 ・地名、人名は原則的にドイツ語  近頃は創作界隈でも大変に流行しているので、改めてご紹介するまでもないのですが、日本では比較的耳慣れない単語、発音であり、いかめしく、促音が頻出する響きがなんとなくファンタジックに聞こえるので、基本的な固有名詞はドイツ語から引くようにしてみました。  その中でも、リールーは狼男のイメージから「月の~」という名前、その他の獣人は単純に格好良く聞こえる単語、人間の男性は職業由来のドイツ語姓(名前として使用。名字の文化はない設定です)、女性はファーストネームとして使われている言葉にしました。 ・アギレオの名前だけが例外  別の大陸から来たのがアギレオだけなので、彼だけはスペイン語から引いた名前です。  鷲という名前にしようと考えたのですが、単語を名前用に変化させる文法が分からなかったので、「それっぽく」感は否めません… ・エルフの名前はエルフ語で  別世界観、非日常感を出したかった、などというと格好良いのですが、「これがやりたかった」ことの一つとして、エルフ達の名前はエルフ語でつけられています。  J・R・R・トールキンという、ある著名な作家がエルフの言葉として作った言語、古い言葉のクウェンヤと、エルフ達が一般的に使うシンダリン(シンダール語)の内、シンダリンで名付けています。  と、言いたいところなのですが、書き始める前に考えていたよりもずっと多くのエルフ名が必要になり、資料の少ない言語で名前を作るのが困難であったため、エルフが登場する様々なコンテンツのために他の方が提供してくださっているエルフ名をたくさんお借りしています。ありがとうございます。 ・固有名詞はイライラ棒!  クリッペンヴァルト(Klippenwald)の王都の景色(出てこない)を考えた時、崖状の土地に森があり、その中に踏み込んでいくと壮麗な都市が出現する、というイメージがまずあって、「崖の森」をそのままドイツ語で訳したクリッペンヴァルトとしました。  隣国としてもうひとつのエルフ国を考えた時に、こちらはイメージより言葉の響き先行で「陰の谷」にしようと思い、適当な変換をしてしまった時に出てきた「ベスシャッテテスタル(Beschattetes Tal)」という言葉をすごく面白く感じて一発で採用しました。絶妙な言いにくさと音の小気味よさがお気に入りです。  なのですが、陰の谷はなぜ陰っているのか、と、改めて考えてみると、おそらく(エルフが住むからには)木々で覆われているせいです。谷を覆い隠す森を想像してみた時、景色はほぼクリッペンヴァルトと同じではないかと気づいて、これもお気に入りに。  この奇妙なる虜の舞台は架空の世界であり、細かいことを言うならば、これらの固有名詞はドイツ語ではなく「東の大陸の共通語」のようなものであり、たまたまドイツ語に似ているだけ。ということになります。  あるいは全然違う言葉なのだけど、こちらの世界で考えやすいように変換するとドイツ語になってしまう、などというと、ファンタジー味が増してとてもおいしいです。  同じように、西の大陸での共通語はスペイン語に似た言語、ということですね。  ファンタジー物語を書くにはちょっと粗雑かもしれませんが、僭越ながらご披露させていただきました。  このような端書きまでお読みいただき、ありがとうございました。
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