episode245

12/30
前へ
/30ページ
次へ
「ちょっと……意味が分かりません……」 僕の口からあえなく飛び出してきた言葉はそれだった。 本当は言ってやりたい。 そんな風に簡単に選べるくらいなら今までの地獄は存在しないと。 「だから……」 カメラマンがもう一度馬鹿な説明を繰り返そうとしていた矢先。 座ったままでいた2人がチラと一瞬だけ視線を交わし——。 「僕がやりましょう」 「え……」 まさか——先に立ち上がったのは征司の方だった。 「義兄は今回あくまでスポンサーでしょう?それに俺の方が絵コンテの肩幅に近い。だろ?」 とんだ悪ふざけのつもりか。 それともライバルの硬直した顔が見たいだけなのか。 「あ……」 僕の肩から無遠慮にタオルをはぎ取ると。 九条さんの目の前で征司は僕を裸にひん剥いた。 だけでなく——。 「征司お兄様っ……!」 「そうと決まればさっさと撮影しましょう」 何のためらいもなく僕を抱き寄せ。 「ちょっ……おろして下さいっ……」 「やる事が済んだらな」 肩に担ぎ上げるようにしてカメラの前に立った。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加