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「ちょっと……意味が分かりません……」
僕の口からあえなく飛び出してきた言葉はそれだった。
本当は言ってやりたい。
そんな風に簡単に選べるくらいなら今までの地獄は存在しないと。
「だから……」
カメラマンがもう一度馬鹿な説明を繰り返そうとしていた矢先。
座ったままでいた2人がチラと一瞬だけ視線を交わし——。
「僕がやりましょう」
「え……」
まさか——先に立ち上がったのは征司の方だった。
「義兄は今回あくまでスポンサーでしょう?それに俺の方が絵コンテの肩幅に近い。だろ?」
とんだ悪ふざけのつもりか。
それともライバルの硬直した顔が見たいだけなのか。
「あ……」
僕の肩から無遠慮にタオルをはぎ取ると。
九条さんの目の前で征司は僕を裸にひん剥いた。
だけでなく——。
「征司お兄様っ……!」
「そうと決まればさっさと撮影しましょう」
何のためらいもなく僕を抱き寄せ。
「ちょっ……おろして下さいっ……」
「やる事が済んだらな」
肩に担ぎ上げるようにしてカメラの前に立った。
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