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すぐにフラッシュが焚かれる。
「さっきよりずっといい表情だ」
僕を誉めそやすカメラマンの声に思わず頬が熱くなる。
「妖艶な魅力が出ましたね。ねえ、彼さっきと全然違うでしょう?」
「ええ……仰る通りです」
よりにもよって九条さんに尋ねなくたっていいのに。
僕を真正面から見つめる純真な瞳に耐えられず目をそらす。
「おまえの妖艶な顔とやらが見られなくて残念だよ」
征司は僕の耳にもっと唇を寄せて囁いた。
「で?九条敬はどんなツラしてるんだ?悔しそうか?それともいつもみたいに偽物の笑顔を貼りつかせてるのか?」
「僕をからかうためにこんなことまでしなくたっていいでしょう」
悔しいかな裸の身体を預けたまま。
それでもできる限り冷静な声音で僕は征司に告げた。
「それとも、そんなに僕と九条さんを2人きりにさせたくないの?」
軽い挑発のつもりで目配せする。
だけど——。
「んっ……」
思ったよりきつい抱擁。
そして——。
「実際そうだと言ったら?」
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