episode245

29/30
前へ
/30ページ
次へ
賢者タイムとはよく言ったもので——。 徐々に頭が冷静になってくると 今日1日の流れが僕にいつにない違和感をもたらした。 九条さんに仕事を頼まれて。 スタジオに征司が現れる。 ひょんなことから僕らが一緒に撮影することになり。 九条さんは席を立ってしまった。 そして——。 僕が手際の悪いアシスタントにジュエリーを外してもらってる間。 征司と九条さんは外で話をつけた。 征司は『今日はこのまま帰ってくれ』と頭を下げたと言ったけど——。 そんなことで九条さんは引き下がるだろうか? ただでさえ最近——僕をめぐっては好戦的だった彼が。 「何を考えてる?」 僕が背を向けていても考えてることが分かるのか? 征司は苛立たし気にそう言うと。 「シャワーを浴びたいの……」 「まだ無理だろう」 脱力したままの僕の身体を己の方へと向き直らせた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

49人が本棚に入れています
本棚に追加