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「はぁ……?!」
らしくもない。
まさに売り言葉に買い言葉だ。
「秘書……」
取り巻きの古狸たちでさえざわめく中。
クスリと笑ったのは珍しくも意地悪い眼差しを浮かべた義兄だった。
「秘書というならそちらに有能な方々がたくさんいらっしゃるじゃないか」
視線がぶつかると白い歯をのぞかせ九条さんは征司の取り巻きに一礼する。
無論彼らとて天宮家当主の秘書となれば悪い待遇ではあるまい。
「なのに成人もしていない弟に秘書を任そうなんて」
憮然として押し黙る当主を前に。
「もしかして君、今回の病を機に本当の天宮家の嫡男に当主の座を譲る気になったのかい?」
ヴィーナスのような唇から驚きの言葉が漏れた。
「九条さんっ……!」
思わず僕が声を上げてしまった。
それは天宮家にとって最大のタブー。
そして双子にとっては最大の侮蔑だ。
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