◆番外編◆

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◆番外編◆

珍しく飯田くんからお誘いがあった。 仕事人間な飯田くんはなかなかデートに誘ってくれない。 電話もメールも少ない。 だけどそれは放っておかれているわけではなくて、私のタイミングと飯田くんのタイミングが合わないだけだと、付き合ううちにわかってきた。 いつも痺れを切らして連絡をしてしまう私。 それももう慣れた。 だけど今日のデートは飯田くんから誘ってくれたんだ。 会社の斡旋で水族館のチケットを入手したから、一緒に行こうって。 そんなの、ウキウキしない訳がない。 私はお気に入りの、シックな中に控え目なビーズとレースが施されたワンピースで出掛ける。 可愛いって言ってくれるといいな、なんて想いを馳せながら。 待ち合わせ場所には先に飯田くんが待っていてくれて、いつものように優しい笑顔で迎えてくれる。 それだけで何かほっとする。 私はお気に入りのワンピースをヒラヒラさせながら、駆け寄った。 飯田くんは私を見ると目を細めた。 そこは「可愛い」って言ってほしいんだけどな。 何も言ってくれないけど、視線は満足そうだ。 彼は言葉よりも目で語る。 それも最近わかってきたこと。 でも本当は言葉がほしいんだよ。 女心がわからない、にぶちんめ。 まあ、そんなところも飯田くんらしい。
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