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第122話 プランツ革命政府樹立に対する反応
電話で、革命政府樹立の報を聞いた国防軍のジョゼフ元帥は、ロベール憲兵隊大将を呼びだしたのであった。
ロベール憲兵隊大将は、国防大本営の憲兵隊統括本部総長を務めている人物である。
因みに、ジョゼフ元帥は国防軍最高司令官職務代行官(国防大本営トップ)と国防大臣(国防省トップ)を兼任している。
「ロベール君。プランツで革命があった。現地の情報部が動いたようだね。しかしながら革命によって、プランツの市民が暴走されると困るのでな。既に情報部の武装隊が警備に当たっている頃だと思うが、キミのところからさらに1個中隊を【アリバナ王国】の【ロベステン鉱山】まで送って欲しい」
ロベール憲兵隊大将を呼び出した理由は、プランツ革命に関係して【ロベステン鉱山の警備を強化したいというものであった。
「かしこまりました閣下。第1機動大隊から一個中隊を派遣いたします」
「そうか。ありがとう。それにしてもだ。話は変わるのだが、ミハラン方面はどうなっている? 報告では大規模な戦闘になったそうだな」
話題は移り、ミハランでの戦闘に関しての話となった。
「はい。パーシヴァル中将からの報告では、前線部隊の暴走を方面軍司令部は容認している節があるとか。このままでは停戦は難しいのではないかと」
「ボブ君は状況に流されてしまうところがあるからね。とても彼らしい」
ジョゼフ元帥がそう言う。
「閣下。ボブ陸軍大将を更迭すべきでは? 」
と、ロベール大将が答えた。
「いや、彼は状況に流されてしまうと同時に、結果を出すのに積極的な人物だ。ミハラン方面軍は天使共との接している。もしこの状況で、天使共と事が起こった時のことを考えれば、彼以外に適任者はいないと思うがね」
「しかしながら、むしろボブ陸軍大将は、わざわざ問題を引き起こしてしまうような気がしますが……」
「それはないだろう。確かに、起こった事案を収拾できないところはある。しかし如何に彼が積極的だとは言え、最初から意図して問題を起こすような人物ではないよ」
確かに、ボブ大将は部下の引き起こしたミハランでの戦闘を収拾できていない。
しかも彼の監督不行届が原因であって、意図して今回の国境紛争を引き起こしたわけでもない。
まさにジョゼフ元帥の言うとおりの状況が、ボブ大将の身に起こっている。
まあ、監督不行届を、何度もしでかす者を放置しておくのも充分問題なわけだが、ボブ大将もまた戦死者や行方不明者とも扱われていないのである。
下手に更迭しても、面倒が増えるだけなのだ。
「それで……停戦の道筋としては、どうなさるおつもりで? 」
と、ロベール大将が訊ねた。
国防軍としては、停戦すべきという意見が多いわけである。であるから、ロベール大将としては、停戦に向けてジョゼフ元帥がどう行動……或いは指示を出しているのか気になったのだ。
だが、ジョゼフ元帥はとんでもないことを言いだすのであった。
「私の古巣の陸軍参謀本部では、【ミハラン砂漠サソリ大王国】に対して大規模な攻勢を行うべきだと言っている。ボブ君以前に、そもそも陸軍はやる気まんまんなのさ。まあ、国防省の陸軍事務局は消極的だがな」
と言った。
簡単に言えば、国防大本営の陸軍軍人はやる気満々で、国防省の陸軍軍人は消極的ということである。
また今のジョゼフ元帥の発言は、国防省を軽視した発言である。ジョゼフ元帥は、国防大臣を兼任しつつも普段は国防大本営にしか顔を出さないのだ。そのため、国防省の陸軍軍人よりかは、国防大本営の陸軍軍人の発言力のほうが高くなっているわけである。
「なるほど。陸軍は既に停戦する気は全くないわけですね」
と、ロベール大将は納得したように言った。
彼もまた、国防大本営の陸軍軍人の意見が、そのまま陸軍の総意のように捉えているのだった。
「まあそういうわけだ。ミハラン地方の戦いは、長引く可能性がある。そう考えておいてくれ」
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