≪ミハラン(前半)≫第126話 各国の情勢②

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≪ミハラン(前半)≫第126話 各国の情勢②

 プランツ革命政府樹立宣言から7日目。  即ち、プランツでの初の選挙戦が開始した日と同日のことである。  ミハラン方面での戦闘は一先ず落ち着いたのだった。  まず、【ミハラン砂漠サソリ大王国】領内に進攻した各5個師団は、およそ100キロ程度地点で進軍を停止し、それ以上は進むことはなかった。  次にシタノサソ・リーノ将軍率いる部隊が再度、第53ゴブリン人連隊が制圧した前哨基地を奪還するため攻撃したものの、第2ムカデ人師団を始めとする増援部隊の手前、失敗し将軍も捕虜となってしまったのである。  そして結果として、端的に言えば【ミハラン砂漠サソリ大王国】側は度重なる大人しくなってしまったのであった。  交渉するには絶好の機会であろう。 ※  プランツ革命政府樹立宣言から8日目。  これは、モーニングサン新聞のとある記事である。 ――― あの戦争と国防軍上層部 第3弾 ―――  前回の第2弾では読者の皆様へ疑問を投げかける回としましたが、今回は早速調査結果の報告を致す回とします。  今回、何と私たち【あの戦争と国防軍上層部】編集担当は、ジョゼフ国防軍元帥の取材に成功したのです!   ジョゼフ国防軍元帥には、ある問いを投げかけました。  それは当然、戦死や行方不明者として計上されていない兵士たちのことです。  するとジョゼフ元帥はこう答えました。  『私から申し上げることは差し控える』と。  私たちはさらに、単なる事務処理的なミスに過ぎないのか、と問いかけました。  すると今度は、『事務処理的なミスではない。これ以上は私から差し控える』と答えたのです。  今回のやり取りで、当然国防軍上層部は何かを隠しているということが明白に判りました。  今回は以上で幕を閉じたいと思います。  私たちは国防軍上層部が隠す様々な事実を暴き、そして世間にそれらを伝えることを至上命題としております。  これからも取材を続けてまいります。  次回をご期待ください! ――― 続く ――― 「この調子では、近いうちに国防軍が隠していることが公になってしまうな」  私はモーニングサン新聞のある記事を読み、そう思った。  この【あの戦争と国防軍上層部】編集担当の、記者としての誇りを強く感じる。 「カルロのところの国防軍が何かを隠しているのね? 」  ユミが脇からそう言ってきた。  しまった……。  つい独り言で国防軍が隠し事をしていることを言ってしまった。こうしてユミに聞かれてしまったではないか!   仕方ない。  ここは平然を装うことにしよう。 「まあな。隠していることが多くあるよ」 「そうね……。隠していることが公になった時の対処を間違えると、民衆が発狂するかもしれない。慎重にね? 」 「お、おう。アドバイスありがとう」  とても貴重なアドバイスに感謝する。  元々、隠し事が公になった際には慎重に対処すべきだとは思っていたが、ユミのアドバイスで改めて意識させられた。魔王の都に着いたら元帥にでも強く言っておこう。 「ところで、天使たちはもう追ってこないの? 」 「天使共か? ああ、どうやらまた付けてきているようだね。本当にしつこい連中だよ」  逃げたり付けてきたりと、一貫性のない連中だもんだ。 「そうなんだ。じゃあ後でビールでも飲んで気を晴らしちゃおうか。私は飲めないけどさ」 「おっ、そうだな」  そうだな。  飲まなきゃ、やってられないのだ。  ※  プランツ革命政府樹立宣言から9日目。  パレテナ王国は早速行動に出た。  王都パレテナタウンにいる約500名の兵士の内、その半分である250名を山賊討伐のため駆りだしたのである。  さらに、その250人を9つに分割し、各隊とも30人前後に調整したのだった。今現在判明している山賊のアジトがちょうど9つだからだ。  そして、兵士たちが王都パレテナタウンをゾロゾロと歩き凱旋するのであった。  そんな彼らの様子を、当然王都の民衆たちは眺めているわけだが、その民衆に隠れて意図を持ち様子を伺う者たちもいたのだった。
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