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第8話 定められた土地に蒔かれて芽ぐむ
女官達が大興奮した褒美の数々は翌日も変わらぬ量が届けられた。
ファビエンヌは嬉しくなかった。
贈られて嬉しかったのは優しい色の良い香りのする小さなブーケだけだ。
バランド国の強力な後ろ盾はあるとしても、まだ地盤も出来ていないこの国でこんな早い時期から目立ちたくはない。ハーレムの女達や要人達から反感を買うのも怖かった。
もしかしたら何かを試されているのだろうかとファビエンヌは考えてみる。
ナザロフ王が傀儡の王じゃなく抜け目ない政治家だったことを思い出せば、ありそうな話だとも思えてくる。
だからファビエンヌはナザロフ王に強請ってみた。これから自分の褒美は福祉事業に関わる――例えば、病院や孤児院の建設や運営費の一部にするなどの――資金に充当し、ここへ届けるのは、その目録のみにして欲しいと。
ナザロフ王はこの話をつまらなそうな顔で聞いていたが分かったと確かに返事はしていた。それなのに翌日も金貨や宝石などの褒美は変わらず届いた。その量こそ最初の三日間と同じものだったが、なぜかそれに加えてファビエンヌが希望していた福祉事業へ相当額充当した目録と小さなブーケも付けられていた。
これだけの褒美をくれる程の何がナザロフ王を喜ばせたのか見当がつかない。
ファビエンヌは本人に訊ねたが、まだ分からなくていいという、分からない返事があるばかりだった。
この件で全く納得がいかないファビエンヌは継続して説得を試みる。こんなことが続き一時的に寵妃と持て囃されたとしても長期的に見て自分に不利益が生じるなら今は抑えるべきだ。迷惑だから止めろとも言えず、ファビエンヌは納得してもらえる理由を並べ立てた。
バランド国の王女への優遇を見せることで、今一番強力な同盟先であるバランド国は顔が立つし、ナザロフ国民も二国の同盟の強さを知って安心して喜ぶかも知れない。けれど、今後他国の王族に結婚の打診をする時にこの偏った優遇は不利に働くのではないか。それは先を考えるとこの国の為にもならないし、他国の姫が輿入れした時にハーレム内でも蟠りが生じるかもしれないとファビエンヌは言って、最近の過剰な褒美について考えを改めてくれるよう頼んだ。
「まあ、それは考えている。お前が気にすることじゃない」
この答えではファビエンヌは素直に頷けない。
ファビエンヌが困った顔を変えないのでナザロフ王はその小さな顎の下を2本指で擽ってやる。
「なぜ嫌がる。金はあった方がいいだろう?」
「それは……そうですが……他に行き渡るべきところがある分を奪っているのではと考えると心苦しくもあるのです。それに、わたくしは個人資産がそれなりにありますので、仮に陛下からのお召しがなくなったとしても金銭で困ることはなくて……」
バランド国は嫁ぎ先のナザロフ国でファビエンヌが胸を張れる額の持参金を出した。それとは別にファビエンヌが国を出る時に持っていくことを許された個人資産は驚くほど高額だった。
これまでの厳しい教育に耐えたことへの報奨金と、ファビエンヌの人生を国が利用することへの慰謝料が王家から出た。更に生家のエマール公爵家からは、マティアスの元へ嫁いだ時のために用意していた持参金を祝い金として渡された。バイエ伯爵家からの慰謝料もエマール公爵はそのままファビエンヌの個人資産に含めるようにと渡してくれたので、ファビエンヌは褒美など貰わなくても一生金に困ることはなかったのだ。
「夫の気持ちを素直に受け取るのも妻の務めだぞ」
そうナザロフ王から拗ねたように言われるとファビエンヌもそれ以上は言えないのだった。
***
ファビエンヌの所へ来てからのナザロフ王の行動は当初から変わらない。
名を呼んで体調を気遣う言葉をかけ、必ず手を握り、少しだけ酒を飲ませ、寝台の上での長い会話を望む。
そして、ファビエンヌをその声と技巧で忘我に落とし、バランド語で夜の王と呼ばれるのを楽しみ、ファビエンヌが意識を失ってしまうまで昂ぶる心のまま体を合わせる。
それ以降のことは昼間まで眠っているファビエンヌは知らないことだが、ナザロフ王は同じ寝台で休み、目覚めた後の朝日にきらめく金髪を眺める僅かな時間を楽しみにしていた。
この光の中で碧い瞳を見ることが出来るのではと期待しながら寝姿を見守ってもいて、時間が来ると目が開かなかったことを残念に思いながら部屋を出ていくのだった。
七日目の夜。ナザロフ王は握ったファビエンヌの手の温かさが結婚式から三日目の夜と同じになったことを密かに安堵した。
しかし、悪いことにファビエンヌが月の障りを迎えてしまったと分かったので女官達が寝室に入って来てあれこれ世話を焼いているのをナザロフ王は所在なく眺めた。
その後は、粗相をするかも知れないと同じ寝台の上で休むことを少し嫌がるファビエンヌを説き伏せて抱きしめて眠った。
その翌日の伽はフィロメナ王女だった。
いつもの如くナザロフ王は歓迎されなかった。
ナザロフ王にとってフィロメナ王女の部屋は収監された者の面会の為に同じ牢獄に入るような気持ちにさせる空間だった。
ファビエンヌの言葉が効いているのか今日はこれまでのように感情を露骨に出してくることもなかった。
ナザロフ王は、いつものようにグラスに半量注いだ酒の中に水薬を一滴落としたものをフィロメナ王女に飲ませて寝台の上に連れていく。フィロメナ王女の手の冷たさと体の強張りを感じながら。
そして、言っても分からないと知りながら寝台に並んで寝そべってナザロフ語で時間稼ぎのために世間話を始める。
酒に落とした薬は、意識を軽く混濁させて、体の力が入りにくくなる効果がある。フィロメナ王女は、これまで唐突に暴れることがあり、互いを傷つけないために処方されたもので、彼女が嫁いだ月の半ばから使っている。薬効が出るまでが緊張の抜けない時間だった。
効果が現れたと判断するとナザロフ王はフィロメナ王女の顔を見ないようにしながら、その華奢な体に受け入れ準備を施し、香油を使って交わった。そして吐精し終わると、そのまま寝台を後にした。
ナザロフ王にとって、ここは義務を果すだけの場所だった。
ナザロフ王はファビエンヌが深刻に捉えないように嫌われていると軽く言ったが嫁いできてからのフィロメナ王女の行いは誰が見ても酷かった。
自分を売った父王や思い通りにならない運命への怒りを纏めてナザロフ王にぶつけた。
啼いて喚くだけじゃなかった。ナザロフ王に向かって物を投げたり、短剣を向けてきたことさえあった。それが鞘がついたままで初めて握っただろう手付きで無かったら地下牢に入れたかもしれない。いや、王女という他国の紐付きじゃなければ早々に殺していただろう。
強国バランドから王女を迎える前の正式に同盟が締結していない状態で、外国から先に嫁いだ王女が問題を起こしたため処分したとなったらバランド国に不信感をもたせることになる。そんなことは到底できず、ナザロフ王はただ耐えることを選んだ。
そうやってファビエンヌを迎えてナザロフ王は初めて知った。他国の王に嫁ぐための教育を受けてきた女がどんなものなのかを。
フィロメナ王女は祖国を恨んでいてナザロフ国との繋ぎをしたりもない。王を慰め、ただ愛玩されるハーレムの女としても役に立たない。こうなったら、せめて子供の一人でもとナザロフ王は苦い思いを耐えて通っていた。
嫁いでから二年の間に妊娠の兆候が無かったらフィロメナ王女は病死になると既に決まっている。なぜ二年なのか。それ以上ナザロフ王が耐えたくなかったからだった。
虚しさから荒む心を持て余しながらナザロフ王は自分の寝室に戻るため重い足取りで廊下を進む。今、一番女の慰めを必要としながらも、王位を継いでハーレムを設けた時、一晩に二人の女の元に渡らないと決めてそれを律儀に守っている自分にナザロフ王は苦笑いした。
さらに翌日は大臣の娘ヘドヴィカの元へ。
ヘドヴィカは、彼女の父である大臣の判断で、今のナザロフ王が王位を継ぐ前の第十四王子だったとき、次の王となると目されてすぐに献上された。
王位を継ぐ半年前に手を付けたのでハーレムでは一番付き合いの長い女だった。
彼女は大粛清前に起きた小規模な内乱で結婚間近だった婚約者を亡くしている。
彼女の父である大臣は知らないようだが、ヘドヴィカは既に婚約者に純潔を捧げていた。そして、表向きはハーレムには純潔で入って来たことになっている。
ハーレムで一番年上の二十四歳。体を合せた数も一番多い。気安い付き合いをしている。そして互いに愛はない。王女達の次に身分が高く、ファビエンヌの想像どおり、このハーレムで権力を持っていた。
白い寝間着の上にガウンを羽織ったナザロフ王がヘドヴィカの部屋へするりと入ってきた。それに気付いたヘドヴィカは褐色の体を優美にしならせて黒豹のように歩いて出迎えた。
「ヘドヴィカ。久しぶりだな」
「ええ、本当に。寂しゅうございました」
さも恨めしそうな作り顔を見せられ、ナザロフ王は腹から笑った。
「そうか。それは光栄だな。……で? どうだった?」
ヘドヴィカは、いつものようにデキャンタの一つを選んでグラスに注ぐと口をつけて毒味してナザロフ王に渡した。
「タラサ・ステマ様のことですか?」
ナザロフ王はグラスの中の酒が思ったよりキツかったので少し咽ながら、言われた言葉に対して訝しげに片眉を上げる。
「……誰だそれは」
それを聞いたヘドヴィカは心底呆れた顔をする。
「陛下お気に入りのお姫様のことですよ。もちろん赤毛じゃない方の」
「やめろ……」
と低く唸るように言ってナザロフ王は心底嫌そうな顔をした。
余計なことを言ったとヘドヴィカが俯いてしまうと、ナザロフ王はグラスの液体を半分飲み下してから少し明るめな声で言った。
「それで? タラサ? そんな名だったか?」
「結婚の誓いの時に大司祭様が名を読み上げると聞いていますが?」
ヘドヴィカは果実酒をグラスに注いで立ったまま飲み始めた。
言われてナザロフ王は明後日の方向を見る。
「……結婚式は二回目だ。それほど真剣に聞いていない」
「どのように呼ばれているのですか?まさか……」
「さすがに本人の前では名を呼んでる。元の名だが。待て、言うな、分かってる。外では呼んでない」
王と言えど聖職者達の不興を進んで買う真似はしたくない。
改宗に反対しているバランド国の貴族が聞いて有難がるような名をとナザロフ王は大司祭に無理を言った。
大司祭は他の仕事を中断し、古い聖典を全て漁らせて長いリストを作ってと半月もかけて決めた名前だ。命じた本人がその名で呼んだことがないどころか、新しい名を覚えてさえいないと知ったら、どれほど責められるかしれない。
とは言っても、この国では嫁いだ他国の王族のような貴人の名を王以外が呼ぶことはない。不敬に当たるからだ。そのルールが適用されないのは特殊なハーレムの中だけだ。ファビエンヌのこともハーレムの外では『金の姫』やら『碧の方』やら下々が好きなように呼んでいる。
ナザロフ王も側近に『あれ』と言えば誰だか通じるので外でファビエンヌの名を呼ぶ機会もない。初夜で元の名で呼ぶようにファビエンヌが言わなかったら、フィロメナ王女のときのように誰かに指摘を受けるまで名前を呼ばないままだったかもしれない。
ヘドヴィカに懐疑的な目で見られたナザロフ王はその視線をうるさそうに手で払う。
「いいから茶会での話をしろよ。で、どう思ったんだ」
ヘドヴィカは定期的にハーレムの様子をナザロフ王に報告している。そして頼まれれば可能な限り調査したりもする。
ファビエンヌが自分に出来る仕事を求めていたのでナザロフ王は客観的に判断できそうな立場のヘドヴィカに見立てを聞いたのだ。
「あんな短時間では判断できませんよ。ですが、ひとまず差し支えない範囲でお任せして良いのではと思いました」
「そうか、――分かった」
ナザロフ王は太い腕を組んで、目を閉じながら聞いていてヘドヴィカの結論に何度も頷いた。
「……じゃあ、そろそろやるか」
にやりと笑いながらナザロフ王がヘドヴィカの肩を押して、やや強引に寝かせると彼女は呆れながら言った。
「んもう……情緒のない……」
乱暴ではないが少し雑な手順でヘドヴィカの夜着は剥ぎ取られる。
男にない丸みを帯びた豊かな双峰と若い鹿のような肢体を露わにするとナザロフ王は暫く視姦した。
ハーレムでは一番馴染んだ体だ。多少雑に扱ってもヘドヴィカは文句を言わない。
フィロメナ王女の相手で精神をすり減らせているナザロフ王にとって、ヘドヴィカのような気を遣わなくて良い女は有り難い存在だった。
ナザロフ王はヘドヴィカに覆いかぶさると滑らかな褐色の首に顔を寄せた。スパイスが混じった馴染みのある香りがする。
匂いを嗅いでベロリと犬のように首を舐め上げた。そして、左胸を鷲掴みにすると、ほんの少しだけ強く首に歯を立てる。
首への刺激に弱いヘドヴィカの体は期待と悦びで震えた。
薄く歯型の残る首を見ながら、こんな扱いは王女たちにはとてもできないとナザロフ王は声もなく静かに笑った。
『女は敷布、男は軍旗』という言葉がある。
敷布は使用を重ねる毎に古くなって価値が落ち、軍旗は使用する毎に戦に勝利したということなので、回を重ねる毎に価値が高まるという性経験のある男女を揶揄った昔ながらの男の勝手な戯れ言だ。
ナザロフ王の『軍旗』は、どの男より使用頻度が高かった。
ナザロフ国の王子は精通を迎えるとハーレムの外に出されることに決まっている。
ナザロフ王が女を覚えたのは、母親と別れて外宮殿に住まうことになった十三歳のときで相手は兄王子のお下がりだった。
男の性の覚えたてがどうなるか、身を以て知っている兄達は、女に開眼したばかりの弟を面白がって自分たちが飽きた女を次々と下げ渡した。
そんな風にナザロフ王は第十四王子のときに経験を積んだ。なにせ十三人も兄がいたのだ。飽きて下げ渡して来る女はとても多かった。
自分が王子に飽きられて使い捨てられたと知った女達のことを第十四王子はとても丁寧に扱った。彼女たちは兄王子達と違い性格の良い年若い王子を気に入って、本当の女の扱いというものを特別に教えた。
その様々な教えと、女を本当に蕩かす性技とを、共に仕込まれた第十四王子は女達に自身の体をもってその返礼をしたのだった。
第十四王子は女を満たすことで信頼の他にも得られることが多いと知って、更に腕を磨いていった。その経験は自身が王位を継ぐことになる大粛清前の工作活動に役立つのだから人生は分からない。
ナザロフ王は、若い頃に聞いた女達の教えを今も覚えていて、どれほど興が乗ってもヘドヴィカには絶対口づけない。それは彼なりの思いやりだった。
ヘドヴィカは自分が王に侍る女として生きることを随分前に割り切っている。
心は天に召された婚約者に純潔と共に捧げた。そして、それをナザロフ王も許している。婚約者の元へ一緒には行けずに地上に残ってしまった体の方は、ヘドヴィカの父親に望まれた通りナザロフ王の子供を産むことに使う覚悟も出来ている。
ヘドヴィカはナザロフ王に抱かれるのは嫌ではない。彼は性技に長けていた。
前王は全てを女にやらせて受け身のまま享楽にふけっていたらしいが、現王はそんなところは微塵もない。
だがハーレムの女が自分を裏切らないように、忠義を尽くすように、快楽を与えて体で縛ろうとしている。そうすることでナザロフ王は自分に都合良い結果を生むために女達が自ら進んで行動するよう仕向けているのをヘドヴィカは知っていた。
そんな打算的な男が相手でも温かい大きな体に包まれているのは心安らぐ。それが吐精するまでの間であっても。
ヘドヴィカは王と愛もなく体を交わして金貨を貰う。
体は許すが唇は許さない。まるで娼婦のようだ。
そして、小回りの利く配下としても扱われる。ナザロフ王にとって都合の良い女だった。
それでも彼女は傷つかない。この地上にはヘドヴィカの心がない。心がないから傷つかない。
愛した男が天の国で真っ白いままの自分の心を胸に抱いて守っている。
その想像はヘドヴィカの心をなにより慰めた。
***
その後の数日もナザロフ王は要人からハーレムに送り込まれた女達の元へ行った。
女は月の障りがあるので順番を決めても計画通りには通えないが優先順位はつけている。今は何よりファビエンヌが最優先だ。
月の障りが終わったと報告を受けて、ナザロフ王は翌日の伽にファビエンヌを指名した。
六日ぶりに顔を合わせたファビエンヌはいつものように笑顔で歓迎していたがナザロフ王が掴んで確かめた手はとても冷たかった。
心を砕き、体を重ねた七日間の努力が消えていたことにナザロフ王は少なからず衝撃を受ける。
この冷たさはナザロフ王にとって慣れきっている自分を拒絶する温度だった。
それをファビエンヌから感じることをナザロフ王はいつも耐え難く思っていた。
「――ファビエンヌ」
思わず重い口調で名を呼んでしまう。
手を取られたままのファビエンヌはナザロフ王の考えが読めず不思議そうに顔を窺った。
「なにか困っていることはないか?」
そう問われてファビエンヌは小鳥のように首を傾げる。
「いいえ。わたしはなにも困っていません」
そこに嘘はないように見える。
どんな嘘も見逃さないような気持ちでナザロフ王は顔を近づけた。
「ファビエンヌ。どんな小さなことでもいい。隠すな」
そんな風に熱心に言われたファビエンヌは困惑して目を瞬いた。
心当たりを探すように目を伏せて彼女は少しの間、顎に握った手を当てた。
「実は……」
ファビエンヌは眉を下げながら大陸共通語で言った。
「陛下のお声が、わたくしにとって余りにも魅力的なので、以前からとても困っておりました」
お愛想で口にしたように聞こえる、その言葉が真実だとナザロフ王は知っていた。
彼女にとって、耳の後ろに唇を当てられ名を囁かれることが、どれほど強力な愛撫になるのかを。そして、その効果の程をナザロフ王は何度も見たのだった。
そんなことを言われたら脂下がるなと言う方が無理なのだ。
「ファビエンヌ。お前は可愛い」
心のまま抱きしめると苦しそうな呻き声が胸元で聞こえる。
金色の小さな頭に唇を寄せながらナザロフ王は尚も言った。
「本当に――お前は可愛い」
その声に感嘆を込めて――。
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