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第3回新聞紙面は逆三角形
前回は、新聞のメインコンテンツである記事に使われる「用字用語」についてご説明しました。
今回は、コンテンツの「枠」に当たる、紙面の構成についてざっくりご説明します。
一般的な、二つ折りの紙面が何枚も重ねられている形のものは「ブランケット版」と呼ばれます。こうした形の紙面の、見開きの各部位の名称は図の通り。
図は、一般的な「二つ頭」と呼ばれる形です。
本文が横に通る線(棚線)で区切られ、その線の上下で改行される形で文が流れます。紙面の中で、同じ棚線の延長線上に含まれる区画を「段」と呼びます。
昔の紙面はこの段数が15のものが一般的でしたが、最近は文字を大きくするため、12段にする新聞社が増えているそうです。
文字が大きくなってページ数が増えている文庫本と反対ですね。
基本的に、一つの紙面には、似た分野、類似した内容の記事がまとめられ、そこから更に、各記事の内容を要約した「見出し」を付け、社会的な重要度や記事同士の関連性に応じてレイアウトされます。
これが、情報媒体としての新聞の特長の一つ「総覧性」のもと。1枚の紙面を見た時、それぞれの記事の読むべき優先順位が一目で分かる。そして、見出しを見ればその記事の内容を大体つかめるので、興味のある記事から読める(記事を読んでいなくても、見出しだけで「〇〇が~した」という最低限の情報は頭の中に入るという利点もあります)。これが新聞の特長です。
そうしてレイアウトされた紙面を読む時、読者が記事の重要度を推し量るために参考となるのが、①記事の配置②見出しの大きさ――です。
まず、「配置」。「面白い」記事ほど、紙面見開きの、上段中央寄りに置かれます。最上段の「ノド口」に置かれたものが、一般に「トップ記事」と呼ばれる、その面の目玉。
同じく最上段にあって、外側(カタ)に置かれるのが、その紙面で2番目に重要な「サブ記事」です。
紙面見開きの中央から始まり、右上から左下へ――。この配置は、読み手の視線が、重要度の高いものから低いものへ自然に動くように想定して決められています。
次に、「見出しの大きさ」。こちらは、本文の段数換算で1~4段のどれかが割り当てられます(基本的に、新聞記事時の見出しは縦書きですが、紙面を単調にさせないため、あるいは組版の都合により、1~4段のサイズに応じた「横見出し」にする場合もあります)。
トップが3、4段で、後は記事の重要度に応じて1~3段。一番扱いの小さい1段見出しの記事は「ベタ記事」とも呼ばれます。
基本的に新聞の紙面では、上に大きなものが置かれ、下に小さい記事が置かれる「逆三角形」になっています。検索エンジンなんて無かった時代、より効率的に情報を提供するために編み出された知恵。四角い新聞紙面の中には、ほかにも色々な工夫がされています。一つの紙面をじっくり眺めて、その工夫を探してみても面白いかも知れません。
☆おまけ☆
このほかに、紙面の構成要素として「ハコ」「かこみ」と呼ばれるパーツや、「ゴシック見出し」といったものもあります。
「ハコ」「かこみ」は、ニュースではない「読み物」系の記事によく使われる形です。よく似たもので「タタミ」と呼ばれるものもあります。ハコとタタミは、「罫」と呼ばれる、記事同士を区切る線の使い方で見分けることができます(次回以降に説明予定)。
ゴシック見出しとは、トップやサブの記事以外に、真ん中辺りにある記事のうち、特に目立たせたいものに割り当てられます。新聞の見出しは基本的に明朝体なのですが、紙面の中に1本か2本、ゴシック体の見出しがありませんか?
本来「事件もの」に使われる手法なのですが、最近では、比ゆ的な意味で「事件だ!」と言えそうな記事に適用されることが多いです。
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