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長年疑問だった直人の謎がわかった。
直人の力になれたかったこと、直人が自分のことを大切に思っていてくれたことがわかり、複雑な気分になる。
黄昏てきた空を見て、賢士は席を立つ。
「そろそろ行くわ」
「来てくれてありがとうな」
玄関に向かう賢士へ直人が声をかける。
「今度来たときは64やろうぜ。」
「懐かしいなぁ、64」
まだ直人が生きていた頃、よく二人で64をした。
世間は既にPS3や他のゲームになっていたが、それでも賢士達は64をやり続けた。
賢士はようやく笑った。
ここに来てからずっと難しい顔をしていた気がする。
「じゃあな。久しぶりに会えて嬉しかったよ」
賢士は拳を付き出した。
「俺もだよ。」
直人は賢士の拳に自分の拳を合わせた。
「お前、良いやつだよな」
拳が離れるときに直人は言った。
「今さらかよ」
賢士はまた笑った。
夕間暮の海と遠くで鳴くひぐらしが賢士をノスタルジックな気分にさせた。
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