“チックン”

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パパは自転車の後ろに座っている、わたちを先に降ろしてから、前に座っているアンちゃんを降ろしました。病院の中に入って、パパが何か病院の人に渡していると、妹のアンちゃんは、おもちゃの置いてあるお部屋に、走って行ってしまいました。 わたちはパパに手を引かれ、アンちゃんが遊んでいるお部屋に行きましたが、ぜんぜん遊ぶ気持ちになれません。 「大友夏奈(おおともなつな)ちゃん、大友杏奈(おおともあんな)ちゃん、2階に上がってください。」 と、しばらくすると病院の人に呼ばれました。 パパはアンちゃんを抱っこして、わたちの手を引き、先生の待っている2階へ行く階段を登りました。アンちゃんはパパに抱っこされてるけど、少し泣きそうな顔になっています。 2階の待っているお部屋では、アニメのテレビが見れて、ぬいぐるみもたくさんあるけど、わたちは怖くてパパにくっついています。 すると先生がいるお部屋から、 「ワ~~~ン!」と誰かが泣く、大きな声が聞こえてきました。 わたちとアンちゃんは、「ビクッ!」として、その声がしたお部屋を見ました。アンちゃんも怖くなったのか、持っていたぬいぐるみを「ポイッ」と置いて、わたちとパパの間に入ってきました。 そうしたら、先生のいるお部屋のドアが開いて、お母さんに手を引かれた、わたちよりちょっと小さい男の子が、泣きながら出てきました。 そのお母さんは「はい、はい、痛かったね。よく頑張ったね。」と 言いながら、階段を降りて行きました。 (やっぱり痛いんだ・・・) わたちとアンちゃんは、その男の子の姿が見えなくなるまで、ずっと見ていました。 「大友夏奈(おおともなつな)ちゃん、大友杏奈(おおともあんな)ちゃん、どうぞお入りください。」 と、先生のお部屋の中から顔を出した病院の人が、わたちとアンちゃんを呼びました。 (わたちの番だ・・・) わたちはパパに手を引かれ、先生のお部屋に入って行きました。
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