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 春陽くんは赤いシャツに紺色のダッフルコート、デニムをはいて救急の入口に立っていた。茶色い髪と長いまつ毛に日が当たってとても綺麗だ。誠也の胸は高鳴った。 「早かったな」 「ああ、1時から面会時間だって言ってただろう。それに合わせて来たんだよ。お父さんの具合はどう?」 「相変わらず意識がない」  誠也は自動販売機の近くに歩いて行った。そしてホットコーヒーを2つ買うと1つを春陽くんに渡す。 「花見に行こうか?夕方になったら寒くなる。付き合った記念にさ、花見したいだろ?」 「ああ、お父さんも来れたらよかったのにな」 「付き合ってるって知ったら怒るに決まってる」  誠也は春陽くんの髪をぐしゃぐしゃっとした。
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