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誠也は渋谷で春陽くんと芳樹くんを見た事を言おうかどうしようか迷っていた。別に春陽くんと付き合っているわけでもないんだから、ラブホテルに行ったと白状されて怒る立場でもなんでもないんだが、だから余計に本当のことをあっさり言われそうで怖い。誠也は遠回しに訊いた。
「この前、渋谷に居ただろう、3日前だよ。月曜日だったかな。仕事で渋谷に打ち合わせに行ったとき春陽くんに似た人を見たんだ。声を掛けようと思ったんだけどさ、誰かと一緒だったろう」
「ああ、月曜日だったら、芳樹と買い物してた。キャバクラで働いてる客がさ、誕生日だって言ってたからハンドバッグでも買ってあげようと思ったんだけど、芳樹の方がブランドとか流行りとか詳しいだろ。だからお願いしてブランドのショップまで一緒に行ったんだ」
春陽くんはそう言うと新しいボトルの口を開けた。
「そうだったんだ」
「なんで声を掛けてこなかったんだ?」
確かに春陽くんの言うことも当たっている。後を付けるなんて男らしくないし、バレたときマジ滅茶苦茶恥ずかしい。誠也は途端に困ったような顔になる。でも、楽しそうにじゃれ合いながら歩いている2人を見たら声を掛けづらかったのが本音だ。
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