言の葉の川

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振り返ると、白い男の子がたっていた。 男の子は本当に白かった。 白い服を着ているから白く見えるのではない。 彼からはなんの色味も分からなかった。 少しの沈黙のあと、男の子は口を開いた。 「大人はね、この川の言葉を触ってはいけないんだ。 大人が触っちゃうとね汚れちゃうの この川は僕達のご飯なの。僕達は、この川の綺麗な言葉を食べて育つんだ。」 「ここの言葉はどんな味がするんだい?」 そう僕が聞くと男の子は困ったような顔をしていた。 「僕それしか食べたことないからわかんない」 「僕も食べてみたいな、ここの言葉」 僕がつぶやくと男の子はにっこり笑って 「僕が取ってきてあげる」 と言った。 僕は男の子に聞いた。 「大人はこの川に触ってはいけないのに、食べるのはいいのかい?」 「いいんだよ!大人がこの言葉を触ったら汚してしまうけど、僕があなたに食べさせてあげればいいんだ!! さあ口を開けて!!」
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