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すれ違いと兄妹弟
リビングで、さめざめと泣く兄を見つめて、華と蓮もじわりと涙を浮かべた。
あの、滅多に泣かない兄が泣いていた。
その姿を見れば、母の死に、どれほど心を痛めていたのが、よく分かった。だが……
(ど、どうしよう、泣かせちゃった)
珍しく泣く兄に、双子は軽くテンパる。
だって、泣いてる姿を見たのは、ざっと10年振りぐらいなのだ。
いや、泣いていいんだけどね!
それだけ、本音だったってことだから!
だけど、泣いた兄の対処法が分からない!
「お、お兄……」
「飛鳥さん」
すると、困惑する双子の向かいで、エレナがそっと飛鳥に問いかけた。
「ハンカチ使いますか?」
「え? あぁ……ありがとう」
わー、どうしよう! エレナちゃん、めちゃくちゃ、よく出来た妹さんだよ!!
空気を読みつつ、しっかり兄を気遣うなんて、小学生にしてこの気配り上手、確実に兄の妹だよ!!
(お、お母さんは、色々と問題ありそうな人なのに……)
(なんで、その母親から、こんないい子が育ったんだろう?)
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