金の山 宝の山 魔の山

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 その昔、人々から金の山と呼ばれる山があった。金塊がごろごろ転がっているので。実際、月夜になると、山林の合間で月光を浴びて光る物が点々と見える。とあらば、少しでも多く頂戴しようと山に入る者が跡を絶たないのだが、悉く山から帰って来れないのだった。だから人々は悪魔の仕業なのでわと恐れ魔の山とも呼ぶのだった。  にも拘らず魔が差すからだろうか、山の麓を歩く者は大概ついつい山中に踏み入ってしまう。そして金塊が見つかると、大喜びして拾い上げ、更に欲が出て山を登って行き、また金塊が見つかると、大喜びして拾い上げ、更に欲が出てということを繰り返す。その内に都合よく紐付き袋を見つけて拾い上げ、それに今まで拾った金塊をせっせと入れて行く。その後も山を登りながら金塊を見つけては紐付き袋に入れて行き、遂には頂上まで登ってしまう。誰もがそのパターンに嵌って、それから・・・
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